ホームページをリニューアルしました

きたあかり法律事務所です。

事務所のホームページをリニューアルしました。

総額表示に加え、解決事例メニュー、過重労働問題についてのメニューを追加しています。

これからも定期的にサイトを更新してまいります。
どうぞ今後ともお引き立てのほどよろしくお願いいたします。

新型コロナウイルス対応について(2021年4月11日更新)

新型コロナウイルスの感染拡大に関し、感染拡大防止とご依頼への対応の観点から、当事務所の対応は以下の通りとなります。
引き続きご迷惑をおかけすることとなりますが、なにとぞご容赦ください。

当事務所の対応について

・事務職員の通勤時の感染防止のため、お電話の受付時間を平日9時30分から16時45分までとします。
・事務所に来所される皆様には、手洗い・マスク着用をお願いいたします。
・事務所では、男女それぞれのお手洗いにハンドソープ、事務所内に清浄綿・アルコールジェル等を備え置いておりますので、お使いくださるようお願いいたします。
・来客ごとに空気の入れ替えを行いますので、室温の低下及び打ち合わせと打ち合わせの間に時間を置く必要があることをご了解ください。
・37.5度以上の発熱や咳・くしゃみの症状がある方についてはご来所をお断りします。
・御来客の方への湯茶の提供は、当面の間行いません。
・新型コロナウイルスへの感染の懸念等から、可能な限りオンラインの方法での相談・打ち合わせを実施致します。電話での打ち合わせ・相談につきましては、原則として行いません。回線本数の上限があり、他業務に支障が生まれる可能性がありますため、ご了解ください。

今後について

今後、新型コロナウイルスの感染拡大に収束の様子が見られた場合には、当事務所の営業も完全正常化することを予定しています。
他方、再び感染が拡大するようなことになった場合、大変恐縮ですが、感染防止のための対応を維持・強化しなければならないこともあり得ます。
いずれにせよ、依頼者の皆様には、これまでと同様に弁護士よりご連絡を差し上げます。 
また、当事務所のHPも随時ご確認ください。

消費税の総額表示義務に対応しました

きたあかり法律事務所です。

2021(令和3)年4月1日から、事業者が消費者に商品の販売やサービスの提供を行う価格について、
表示媒体に関わらず消費税額を含めて表示をすることが必要になりました(総額表示義務)。
当事務所のウェブサイトのうち費用に関する点について、総額表示といたしました。

値上げをしたのではなく、これまで消費税抜きで表示をしていたものについて、消費税込みの記載にしたものです。
相談をお考えの方、ご依頼中の方がたにおかれましては、ご理解くださいますようお願いいたします。

「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟 控訴にあたっての弁護団声明

「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟について2021年3月17日に札幌地方裁判所が言い渡した判決(以下「地裁判決」といいます。)に対し、本日、原告6名は控訴しました。

 地裁判決は、婚姻によって得られる重要な利益である法的効果を受けることに関して、同性愛者と異性愛者には性的指向以外に何らの差異もないとして、民法及び戸籍法の規定が同性愛者に対して婚姻の法的効果の一部ですらも与えていないことは憲法14条1項に違反すると判断しました。

 私たち原告及び弁護団は、このような地裁判決の判断を高く評価し、また、憲法判断を避けずに正面から現行法の憲法違反を論じた裁判体の姿勢に対しても深く敬意を表します。

 もっとも、違憲判断を示した地裁判決が確定したとしても、それによって直ちに私たちの求めている同性間の婚姻制度が実現するわけではありません。同性間の婚姻制度が実現するためには、政府・国会による立法措置が不可欠です。

 しかしながら、政府は、判決当日の記者会見において、地裁判決を受けてもなお、「婚姻に関する民法の規定が憲法に反するものとは考えていない」との立場を表明しており、法改正に向けた検討等の具体的な動きを示しておりません。

 このような状況で、同性間の婚姻制度を実現するためには、国会の立法不作為を違法とする判断を含む、政府・国会の速やかな立法措置を促す更に強いメッセージとなる司法判断が必要であると判断し、私たちは控訴することを選択しました。

 私たちは、札幌高等裁判所において、画期的な地裁判決を少しも後退させることなく、これをより前進させた判決を得られるよう、全力を尽くして参ります。

 これまで裁判をご支援していただいたすべての皆さまに改めて感謝を申し上げるとともに、控訴審においても引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上

「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟 判決についての弁護団声明

3月17日11時、札幌地方裁判所で言い渡された、「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟判決を受けた弁護団声明です。

「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟判決についての弁護団声明

2021年3月17日

「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟弁護団
「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会

1 はじめに

札幌地方裁判所民事第2部(裁判長裁判官武部知子、裁判官松長一太、同川野裕矢)は、本日、「結婚の自由をすべての人に」北海道訴訟(以下「北海道訴訟」という。以下同じ。)について、同性(法律上同一の性別となる者をいう。以下同じ。)間での婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する規定(以下「本件規定」という。)は、憲法14条項に違反するとの画期的判断を示した。
他方、同性間の婚姻を認めていない法律の規定の改廃を怠った国(国会)の責任は認めず、原告らの請求を棄却する判決を下した。

2 「結婚の自由をすべての人に」訴訟とは

「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、同性のパートナーとの婚姻を望む原告らが、本件規定は、憲法24条及び13条により保障される婚姻の自由を侵害し、また、憲法14条1項に反して原告ら同性カップルを差別的に取り扱うものであって違憲であるとして、憲法に違反する法律の規定の改廃を怠った国に対し、婚姻をすることができないことによって被った精神的な損害の賠償を求める訴訟である。これまでに、全国5つの地方裁判所(札幌、東京、大阪、名古屋、福岡)において、合計29名(うち1名は2021年1月18日に逝去)の原告らが訴えを起こしている。
北海道訴訟においては、6名(3組のカップル)の原告らは、本件規定は、憲法24条1項及び13条が保障する婚姻の自由を侵害するものであり、また、憲法14条1項に反して原告ら同性カップルを差別的に取り扱うものであって、違憲であると主張していた。

3 本日の札幌地裁の判決

本日の札幌地裁の判決は、各地の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の中で初めての司法判断が下されたもので、同性間の婚姻を認めないことについての憲法判断が行われた日本初の判決であるとともに、同性間の婚姻を認めない本件規定は憲法14条1項に違反して違憲である旨を判示した、画期的な判決である。
本日の札幌地裁の判決は、まず、本件規定が憲法24条に違反するか否かの点については、同条の制定経緯や同条において「両性」「夫婦」という文言が用いられることなどからすると、憲法24条は異性婚について定めるものであり、同性婚について定めるものではないと解されることから、本件規定が同性間の婚姻を認めていないことが同条に違反するとはいえないと判断し、憲法13条についても、包括的な人権規定である同条のみによって、同性間の婚姻及び家族に関する特定の制度を直接導き出すことは困難であるから、本件規定が同条に違反するとはいえないとした。
一方で、平等原則を規定する憲法14条1項については、以下のとおり述べて、本件規定は憲法14条1項に違反して違憲であると明示的に判示した。

婚姻とは、身分関係と結びついた複合的な法的効果を同時又は異時に生じさせる法律行為であるとした上で、同性愛者のカップルは、婚姻によって生じる法的効果を享受することはできないことから、異性愛者と同性愛者との間には、区別取扱いがあるということを認めた。
その上で、この区別取扱いが合理的根拠を有するか否かは、性的指向が自らの意思にかかわらず決定される個人の性質であることからすれば、真にやむを得ない区別取扱いであるか否かの観点から慎重になされなければならないとした。
そして、婚姻によって生じる法的効果を享受する利益は、憲法24条からしても保障される 異性愛者にとって重要な法的利益であるところ、異性愛者と同性愛者の差異は性的指向が異なることのみであり、そのような法的利益は、同性愛者であっても、異性愛者であっても、等しく享有しうるものと解するのが相当であるとした。
本件規定は、子の有無、子をつくる意思・能力の有無にかかわらず、夫婦の共同生活自体を保護することが重要な目的であり、同性愛者であっても、婚姻の本質を伴った共同生活を営むことができるから、同性愛者に対して、婚姻によって生じる法的効果の一切を享受しえないものとする理由はないとした。
札幌地裁判決は、少数者である同性愛者の保護に関する立法者の裁量権行使について、次のとおり述べた。すなわち、「圧倒的多数派である異性愛者の理解又は許容がなければ、同性愛者のカップルは、重要な法的利益である婚姻によって生じる法的効果を享受する利益の一部であってもこれを受け得ないとするのは、同性愛者のカップルを保護することによって我が国の伝統的な家族観に多少なりとも変容をもたらすであろうことを考慮しても、異性愛者と比して、自らの意思で同性愛を選択したのではない同性愛者の保護にあまりにも欠けるといわざるを得ない」。
そして、同性間の婚姻や家族に関する制度は、第一次的には国会が国民感情などを踏まえた総合的判断により定められるものであるとしても、同性愛者のカップルに対する法的保護に肯定的な国民が増加していること、同性愛者と異性愛者との間の区別を解消すべきとする要請が高まりつつあること、諸外国においても性的指向による区別取扱いを解消する要請が高まっている状況があることなどからすると、同性愛者に対して婚姻の法的効果の一部ですらも享受する法的手段を提供していないことについては、国会の裁量権の範囲を超えたものであり、合理的根拠を欠いた差別取扱いに当たると解さざるを得ないとし、したがって、その限度で本件規定は憲法14条1項に違反するものであるとした。
判決は、以上のとおり、本件規定は憲法14条1項に違反するものであると判断したが、諸外国の同性婚・パートナーシップ制度の導入や我が国における地方自治体の登録パートナーシップ制度の拡がりが比較的近時のことであること、国会においても同性婚に関する議論がなされるようになったのは最近のことであること、同性婚に関する制度がないことの合憲性についてこれまで裁判所の判断が示されたことがなかったことなどに照らすと、本件規定が憲法違反であることを国会が直ちに認識することは容易ではなく、国会が正当な理由なく長期にわたって本件規定の改廃を怠ったものとは評価できないとして、国会が本件規定を改廃していないことが国家賠償法上違法であるとはいえないとした。

4 弁護団の評価

本判決が同性間の婚姻を認めていない本件規定が憲法14条1項に違反するとの判断を初めて示した点は画期的なものであり、原告らの真摯な訴えを受け止めた判決として高く評価できるものである。
他方で、判決が国会の責任を認めなかった点は、法律婚の制定を待つ多くの同性カップルの権利実現を先延ばしにするものであり、残念な思いも拭い去れない。
結婚するかどうか、誰と結婚するか婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであり、婚姻によって生じる法的効果を享受する利益は、性的指向にかかわらず、誰にも等しく享有しうる重要な利益である。
同性愛者らは、結婚の持つ重要な法律上の効果を享受できないだけでなく、そのことにより、社会から異性愛者よりも劣ったものとして扱われ、その尊厳を日々傷つけられ、同性愛者らに対し、社会から異性愛者よりも劣ったものとして扱われることによる劣等感を植え付けられてきた。

本日の判決が、同性間の婚姻を認めないことについて、合理的根拠を欠く差別的取り扱いとして、その違憲性を明確に認めたことは大いに評価する。
本日の判決は、国会が本件規定を改廃していないことが国家賠償法上違法であるとはいえないとしたが、それは違憲状態をそのまま放置することを単に容認したものではなく、法改正に、もはや一刻の猶予もないことを指し示すものである。
国は、この判決を真摯に受け止め、憲法に反するとされた現行の民法及び戸籍法の改正に直ちに着手し、この違憲状態を速やかに解消すべきである。

5 最後に

北海道訴訟の原告ら及び弁護団は、国会が立法義務を果たさず違憲状態を放置して遅々として改めようとしない現状の違法性を明らかにすることにより国会に速やかな立法措置を促す必要があると考えており、請求棄却となった本件判決に対しては、今後控訴をする予定である。
改めて、これまでこの裁判を支援していただいたすべての人々に感謝申し上げるとともに、引き続きご支援・ご協力をお願いするものである。
そして、他の地裁における「結婚の自由をすべての人に」訴訟においても、原告らの声に真摯に耳を傾け、丁寧な審理のもとに、本日の札幌地裁の判決を超え、原告らに対し勝訴の判決が下されることを強く期待する。

以 上
2021年 3月17日

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まだまだスタッフも扱いに慣れていないこと等から返信にお時間をいただくかもしれませんが、ご了承ください。

個別メッセージでの相談申込も可能です。
また、ZOOMは使えないけれど、LINEなら使える…という方にご利用いただき、ビデオ通話での相談ができればと思っています。
そのほか、事務所からの情報発信にも活用していきたいと思っています。

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新年のご挨拶・コロナウイルス対策について(2021年1月5日更新)

新年、明けましておめでとうございます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
おかげさまできたあかり法律事務所は、昨年7月で設立3年を迎える事が出来ました。
これもひとえに皆様方のご愛顧の賜物と深く感謝いたしております。
本年も、更なるサービスの向上に努めて参りますので、より一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。

また、新型コロナウイルスの感染拡大問題について、感染拡大防止とご依頼への対応の観点から、当事務所の対応は以下の通りとなります。
引き続きご迷惑をおかけすることとなりますが、なにとぞご容赦ください。

当事務所の対応について

・事務職員の通勤時の感染防止のため、お電話の受付時間を平日9時30分から16時15分までとします。
・事務所に来所される皆様には、手洗い・マスク着用をお願いいたします。
・事務所では、男女それぞれのお手洗いにハンドソープ、事務所内に清浄綿・アルコールジェルを備え置いておりますので、お使いくださるようお願いいたします。
・来客ごとに空気の入れ替えを行いますので、室温の低下及び打ち合わせと打ち合わせの間に時間を置く必要があることをご了解ください。
・37.5度以上の発熱や咳・くしゃみの症状がある方についてはご来所をお断りします。
・御来客の方への湯茶の提供は、当面の間行いません。
・新型コロナウイルスへの感染の懸念等から、可能な限りオンラインの方法での相談・打ち合わせを実施致します。電話での打ち合わせ・相談につきましては、原則として行いません。回線本数の上限があり、他業務に支障が生まれる可能性がありますため、ご了解ください。

今後について

今後、新型コロナウイルスの感染拡大に収束の様子が見られた場合には、当事務所の営業も完全正常化することを予定しています。
他方、再び感染が拡大するようなことになった場合、大変恐縮ですが、感染防止のための対応を維持・強化しなければならないこともあり得ます。
いずれにせよ、依頼者の皆様には、これまでと同様に弁護士よりご連絡を差し上げます。 
また、当事務所のHPも随時ご確認ください。

年末年始の営業時間について

きたあかり法律事務所です。

当事務所では、下記の通り年末年始のお休みをいただきます。
事前にご連絡いただいている方については相談や打ち合わせも実施できますが、
下記期間は電話が留守番電話となっております。
そのため、事前にご連絡いただくか、FAXやメールフォームなどでご連絡ください。
なお、弁護士が事務所に出勤しない日もありますので、下記期間中にご連絡をいただきましても、
急を要する対応ができないことがありますことを、予めお詫び申し上げます。

2020(令和2)年12月28日(月)午後1時から2021(令和3)年1月4日(月)まで

年始は1月5日午前10時から電話がつながるようになります。

FAX番号 011-215-1926
メールフォーム こちらをクリック


それではみなさま、よい年をお迎えくださいませ。

きたあかり法律事務所一同

給費制廃止違憲訴訟 札幌控訴審判決を受けた弁護団声明

本日13時10分、札幌高等裁判所で出された、給費制廃止違憲訴訟の、札幌控訴審判決を受けた弁護団声明です。

弁護団声明
(給費制廃止違憲訴訟札幌訴訟第2審判決を受けて)

2020年12月18日

本日、札幌高等裁判所第2民事部(長谷川恭弘裁判長)は、元66期司法修習生(以下「控訴人ら」という)が国を訴えた裁判(平成31年(ネ)第170号 損害賠償等請求控訴事件、係属部:札幌高等裁判所第2民事部イ係 、原審:札幌地方裁判所平成26年(ワ)第2193号 損害賠償等請求事件、係属部民事第3部合議A係)について、控訴を棄却する判決を言い渡した(以下、「本判決」という)。
本判決は、国が平成16年法律第163号裁判所法の一部を改正する法律(以下「平成16年改正法」という)により給費制を廃止したことについて、控訴人らの憲法上の権利を侵害するものではないと判断した極めて不当な内容であり、控訴人・弁護団は強く抗議する。
これまで、全国の同種裁判において、控訴人らと同様の元司法修習生の請求が棄却される判決が相次いでいた(66期東京訴訟 1審判決:平成30年6月15日言渡し、同控訴審判決:平成31年2月6日言渡し、同上告審:令和1年9月6日決定、66期熊本訴訟 1審判決:平成30年4月16日言渡し、同控訴審判決:平成31年5月10日言渡し、同上告審:令和2年10月13日決定)。これらの判決については、いずれも、司法修習の実態を真摯に検討することなく、国の主張に無批判に追随するかのような裁判所の職務放棄に等しい内容であり、大いに批判がなされている。
本判決は、第一審判決の判決理由に加除修正を加えるという旧来方式で作成しており、裁判官の判決を書く態度として、そもそも疑問を差し挟まざるを得ない。しかも、本判決が第一審に対して加除修正を加えたのは、もっぱら立法過程における委員の意見答弁等であり、控訴人らの声ではない。
また裁判所は、控訴人らが控訴審において新たに提出した憲法学者の意見書とこれを踏まえた主張について、憲法学者の証人採用を求めた控訴人らに対し、意見書を十分に検討するとして証人採用をしなかった。にもかかわらず、判決内においては、当該意見書において批判された判断枠組にそのまま乗ってしまっており、十分検討する気もないにもかかわらず期待だけもたせて、結論ありきで証人を採用しなかったことが明らかになったと言わざるを得ない。十分に検討するとした憲法学者の意見書をまともに検討した形跡は皆無である。
加えて、本判決も、前記同種裁判の判決同様、国が司法修習費用の給費制を廃止したことについて、「給費制は、それ自体が憲法上保障ないし要請されている制度であるとはいえず、その廃止及びこれを復活させなかったことが違憲であるともいえない」などとという形式的な理由で、控訴人らの控訴を退けた。さらに、立法裁量に関する部分において「司法修習生を2倍に増加させて給費を2分の1にするということにしたとして、これで経済的理由から法曹を志望しなくなる者が貸与制にしたよりも少なくなるということもできないのであって」という、控訴人も被控訴人も主張していない言及をあえて追加していることからも、まともに給費制廃止にかかる問題を検討しようとする姿勢に欠けている。
いずれにしても、控訴人らが訴えている無給下での司法修習の実態や司法修習終了後の返済の実態について十分に検討しようとする姿勢は皆無であると断ぜざるを得ない。
札幌66期控訴審の審理は、平成29年法律第23号裁判所法の一部を改正する法律(以下「平成29年改正法」という)により控訴人らが谷間世代となった段階であり、また、控訴人らが貸与金の返済を余儀なくされた段階でもある。にもかかわらず、そのような本件の特殊性に一切関心を示さず、法曹の先輩としてのメッセージも発することもなかった。
これが同じ司法修習を経験して現在の立場にある裁判官が書く判決なのかと愕然とする思いである。
平成29年改正法により、平成29年以降に司法修習生となった者に対しては修習給付金が支給される制度が創設された。この実態は、司法修習費用の給費制の一部復活であり、給費制廃止が誤りであったことを国が認めたものと言わざるを得ない。
もっとも、平成29年改正法によっても、控訴人らは救済の対象にはなっていないのであるから、国においては、本訴訟で控訴人らが主張してきたことを踏まえて、控訴人らに対する救済策を速やかに講じなければならない。
控訴人・弁護団は、不当な判決に強く異議を述べ、今後も司法修習費用の給費制の復活と谷間世代の救済に向けて、最後まで闘い抜く所存である。

控訴人団長  小林 令
弁護団長  高崎 暢