離婚後共同親権問題について 離婚をお考えの方へ その2
write by きたあかり法律事務所
Q4:どういった場合に共同親権になり、どういった場合に単独親権になるのでしょうか?
A4:現時点では、明確な基準をお示しすることは困難です。
Q2に対する回答のところでお答えしたとおり、協議離婚あるいは調停離婚の場合は、単独親権にするか共同親権にするか、夫婦の話し合いで決めるのが基本ですが、夫婦の間で合意に至らない場合には、どちらにするかを裁判所で決めることになります。
裁判所で決めることになった場合、民法の条文上は「子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮」(改正後民法819条7項柱書)して決めるとされていますが、次のような場合には必ず単独親権とすることとされています(改正後民法819条7項1号2号)。
① 父親又は母親が子の心身に害悪を及ぼす恐れがあると認められるとき
② 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受ける恐れの有無、父母の協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
具体的には、例えば子供への虐待や配偶者へのDVが行われていたと裁判所で認定されたケースでは、単独親権とされる可能性が高いということです。
もっとも、これらに当てはまらないケースにおいて、どういった場合に共同親権になり、どういった場合に単独親権になるのかは明確になっていません。
弁護士としての実務上の経験・感覚からすると、おそらく、一方の親に一定程度の単独での監護実績があり、かつ父母の人間関係が高葛藤状態であるというような場合には、単独親権とされるのではないかと考えています。
もっとも、具体的な監護実績がどのくらいであれば足りるのか、高葛藤とはどの程度のものか、というようなことについて明確な基準を示すことは困難です。
そのため、条文に「父母の協議が調わない理由その他の事情を考慮して」と規定されていることについて、今後裁判所がこの文言をどのように解釈し、適用していくかに注目していかなければならないと考えています。