NPO法人北海道レインボーリソース・センターL-Portへの広告掲載
write by きたあかり法律事務所
このたび、L-Portのバースデードネーションに協賛し、ウェブサイトへの掲載をしていただきました。
NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Port
ドネーション支援にあたり、弁護士皆川から、応援メッセージを投稿しましたので、ご紹介いたします。
応援メッセージページ
私がL-portを知ったのは、2014年の春頃だったと思います。レインボーマーチもなくなり、札幌に住むLGBTQの居場所はどうなっていくのかと思っていたときに、知人の紹介で知ることになりました。
その後、勤務をしていた大きな事務所では表立っての支援は難しかったのですが、事務所を独立し、自分の事務所となってからは、自由に支援をすることができるようになりました。そのため、これまでも事務所として来所される相談者や依頼者の方、取引先に向けてにじいろtalk-talkについての広報ツールを事務所に設置する、SNSでの紹介などを通して協力してまいりました。今回は、クラウドファンディングの実施ということで、より直截的な支援をすることができると考え、協力させていただきました。
LGBTQの問題に関しては、事務所全体として取り組んでおり、札幌市LGBTフレンドリー企業(★3をいただいています)として登録しておりますし、私と林が、結婚の自由をすべての人に訴訟(いわゆる同性婚訴訟)の弁護団員として関わっているほか、島田は2023年度の札幌弁護士会副会長として同訴訟に関しての声明発出、ジェンダーの実質的平等に向けての男女共同参画に注力する等の活動をしてまいりました。
法律事務所・弁護士として、様々な人権課題に取り組む中での重点項目であると考えておりますし、事務所全体として取組をしています。多くのLGBTに関するイベント・啓発が行われ、同性婚訴訟での違憲判決の獲得など、社会は一歩ずつ進んでいるように思われます。
しかしながら、特に、2025年になってから、LGBTQに対するバックラッシュが顕在化しており、ひとたびSNSを眺めれば生きていることもつらくなるような苛烈なヘイトスピーチが後を絶ちません。そんな中、L-portの皆さんが多様なセクシュアリティの尊重される社会の実現のために、顔や名前を出して活動しておられることについては、畏敬の念に堪えません。
では、多様なセクシュアリティが尊重される社会の実現のため、具体的に何をすればいいのか、特効薬のような明確な答えはありませんが、3つ考えることがあります。
まずはアンテナを鋭く持つことです。私たちひとりひとりがこの社会を構成しており、どの場面で誰がマイノリティになるかはわかりません。想像力と人権のアンテナを鋭く持ち続けることが肝要だと思います。
次に、人権課題への優劣という視点をなくし、もっとも小さく扱われているグループの問題を解決することが、全ての問題を解決し得るという視点を持つことです。LGBTQ課題の提起に対して、「ほかの問題を解決してから」という意見がありますが、それは明確な誤りです。LGBTQの課題を解決することによって、女性差別の問題、男性の生きづらさの問題、家族の問題等、多くの問題が一緒に解決できるはずです。
そして、最後に、マジョリティが声をあげ続けること。これがもっとも重要ではないかと考えています。
この場面での「マジョリティ」は、シスジェンダーであること・ヘテロセクシャルであることというほかに、社会全体での「強者」、いわゆる「特権」属性を持っていることです。
弁護士という社会的地位、学歴、所得が高いこと、男性であることなど、社会的に強者となる多くの属性を持っているマジョリティの声は、正当性をもつもの・正しいものとして評価されるという特質があります。そのため、マジョリティが声をあげる、つまり、目に見える形で発信していくことで、社会に変革を与えられるはずです。
また、私と島田は、ヘイトスピーチに反対する活動をしていたことで、日本全国の数百名からの懲戒請求(弁護士をはく奪するための請求)を受けたことがあります。彼らの狙いはマジョリティである私たちを黙らせることにありました。しかし、私たちは黙りませんでした。私たちが黙らないことは、ヘイトスピーチを受ける側をエンパワメントし、ヘイトスピーチをする側の力を削ぐことができたと信じています。単に一度声をあげるだけではなく、声はあげ続けなければならないと思います。
この「声をあげ続ける」がもっとも重要であり、また、困難を伴います。L-port が13年間もの長きにわたって活動してこられたことに敬意を表するとともに、願わくば次の13年を迎えずにすむよう、つまり、早急にかつ実効的に、多様なセクシュアリティが尊重される社会を迎えることができるよう願っています。
ともに頑張ってまいりましょう!
(文責 弁護士皆川洋美)