皆川洋美弁護士が北海道新聞に取材を受けました
write by きたあかり法律事務所
皆川洋美弁護士が北海道新聞に取材を受け、調停など裁判所の期日延期の問題について話しました。
調停延期は死活問題 コロナ禍当事者、弁護士ら危機感
新型コロナウイルスの感染防止のため、道内の裁判日程が延期や取り消しとなる中、別居中の夫婦が家庭裁判所で生活費の分担などを話し合う調停も滞っている。家裁は緊急性の高い事案は進めているとするが、当事者からは「明日にも食費や家賃に行き詰まりかねない」と切実な声も漏れる。弁護士らも「司法の役割を果たせていない」と危機感を募らせる。
「手元のお金は、ほぼ底を突いた。食費、家賃、おむつ代と心配ばかりしている」。札幌家裁で調停中の30代女性は声を落とす。専業主婦で、浪費を繰り返す夫と距離を置くため、未就学の長男を連れて数カ月前に家を出た。夫には弁護士を通じ、生活費の負担を求めたが応じてくれず、4月に調停を申し立てた。だが、6月を迎える今も日程は決まっていない。
札幌家裁では新型コロナの感染が拡大する前、1日平均30件ほどの調停が開かれていたが、国の緊急事態宣言が出た4月中旬には大半の予定が中止に。子供の養育に関する調停は離婚の有無にかかわらず優先的に進めているとする一方、4月以降に実施した調停の数は「集計していない」として明らかにしていない。
女性は6月からパート勤めを始めるが、最初の給料日は1カ月先。「急な出費があれば、子供の食費に響きかねない。それでも緊急性がないんでしょうか」と疑問を投げ掛ける。
家庭問題を手がける皆川洋美弁護士(札幌)は、当事者や弁護士、調停委員が膝詰めで話し合う調停の性質上、「感染リスクは高い」とした上で、「養育費などの問題は当事者の生活と密接に関わり、迅速な解決が必要」と強調する。
札幌市の40代女性は夫の浮気が原因で別居し、長男と2人で生活する。夫が転勤したため、大学に進んだ長男の学費などを巡り、道外の家裁で調停を続けてきた。電話で参加してきたが、今月の調停は新型コロナを理由に延期となった。
夫は学費の負担を拒んでおり、女性は入学金や授業料など約70万円を両親に無心して工面した。「経済的にいつ破綻してもおかしくない。電話なら感染リスクは低いはずで、裁判所は結局、人ごとなのかな」と早期の調停再開を望む。
札幌家裁は29日、延期した調停の順次再開を決めた。石栗正子所長は「緊急性の高い事案から可能な限り手続きを進めている。当事者の声を真摯(しんし)に受け止め、適切に対応したい」と話す。
北海道新聞社 2020年5月30日
調停の方法は感染のリスクが高い一方で、話し合いを行うことの良さもあります。
感染のリスクを回避しながら、案件の進行が進められることを強く願います。