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2017年3月14日
write by 皆川 洋美
今日,予約投稿で以下の記事を投稿したばかりでしたが
昨日の夕方から報道がなされている残業代の上限規制問題について
触れなければなりませんね。
政府の目指す残業時間の上限規制問題について,
「100時間未満」という方向で決着が図られる見通しとなりました。
経団連と連合とで,罰則付きの時間外労働の上限規制導入につていての合意をしたのだそうです。
その具体的合意内容は以下の通りです。
① 残業時間の上限規制は月45時間,年360時間を原則とする
② 一時的な業務量の増加がやむを得ない場合には特例として上限の引き上げを認める
ア 1年間では720時間,月平均60時間
イ 2~6か月平均は80時間以内
ウ 単月は100時間を基準
エ 残業が月45時間を上回るのが45時間を上回るのは年半分を超えない
これらについては,罰則付きで実効性を担保すること,
36協定の記載内容についての規定なども盛り込まれるようです。
一方で,インターバル規制のことについては具体的には合意されていないようです。
これについて取材もいくつか受けましたが,やはり気になるのはイウの部分でしょうか。
いずれも,過労死ラインを超えた設定となっています。
過労死ラインを超えた時間外労働を労基法が許容するような内容になるのは異常です。
また,これらを超えない限り企業の安全配慮義務は果たされたという解釈にもなりかねません。
もし刑事罰という観点でのみの合意であって,80時間に至らない時間であっても,
たとえば月45時間を超えることが常況となっているような会社について,
労基法上の行政罰規定が盛り込まれるとか,
時間外労働の管理がなされていない企業への対策(刑事罰でもいいかもしれません)
そういったものと抱き合わせであれば,また違った評価をすることもできるのかもしれません。
もちろん,悲願の上限規制ではありますが,まったく安心することができません。
本当に過労死等の防止を考えているのか,強い疑問が残る合意内容です。
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