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2017年3月14日
write by 皆川 洋美
過労死とは,
「働き過ぎが原因となって引き起こされる死」
です。
長時間労働による疲労や精神的負荷が過度に蓄積すると心身の健康を損ない,
ついには死に至るとされています(2000年3月24日電通事件最高裁判決)。
脳内出血や心筋梗塞など身体が破綻するのが過労死
うつ病の発症など精神が破綻するのが過労自殺(過労自死)であるといえます。
過労死・過労自殺は,無理をしてまじめに働いている人を突如襲い,大切な人を突然奪っていきます。
家族の心配は,突然現実のものとなるのです。
従前から,過労死等問題に対する取組については記事にしてきました。
私は,この過労死等防止対策推進全国センターという,過労死等の防止に取り組む民間団体の全国幹事を務めています。
先日,昨年の過労死防止全国センターの取り組みをまとめた全国ニュース第3号が発行されましたので,ご紹介です。
http://karoshi-boushi.net/wp-content/uploads/2017/03/6a1cde976c97b980bfd7956974d6f053.pdf
この中で,私の書いた記事は,以下の通りです。
最初に実施した大学での講義は,電通過労自死事件の労災認定が報道された直後だったこともあってか,複数の報道機関が講義の様子を取材し,実際に特集として報道され,報道を見た元依頼者などからの連絡を受けた。
過労自死遺族の講話は,「どうかこの学生たちに過労自死しないでもらいたい」という願いのこもったもので,学生たちにもその思いは伝わったものと思う。
また,このことをきっかけに,第2回北海道シンポジウムに学生が出席し,また,シンポの開催報道に結びついたという経過もある。全ての活動は有機的につながっているのだと言わざるを得ない。
2⃣中学・高校での講義で,遺族の帯同はかなわなかった。生徒たちの精神的ショックが想定されるという担当教員の懸念による。
とはいえ,遺族からの講話に代わって流したDVDを食い入るように見ている様子を見ると,
事実をきちんと伝えることも大切なのだと改めて感じさせられた。
電通事件の後であり,「カロウシ」という言葉を知っている生徒たちも少なくなかったが,
自分にも起こりうるということの想像はなかなか難しかったと思われる。
そのため,「自分を大切にしなさい。」「生きるために働くのであって,働くために生きるのではない。」「死ぬよりつらいことなんて何もない。」と説き,講義を終えた。
その後,春から就職する生徒が「俺は相談するから。」と言ってくれたことに大変救われた思いでもあった。
3⃣なお,北海道での過労死啓発講義は,距離の問題も大きいと感じる。
札幌に人口集中しているとはいえ,面積は日本の面積約38万㎢の22%を占める。
地方裁判所が4つある都道府県は北海道だけである。
そのため,ある高校での講義をするために,私は前日夜からその地域に行かなければならず,往復の移動時間は講義時間の約6倍であった。
とはいえ,私も弁護士である。書面陳述2分のために,事務所から裁判所まで往復20分をかけて移動する。10倍と6倍を比べれば…と思って,深夜バスに乗り込んだのであった。
結局,その移動時間は,私が過労死問題を取り扱いたいと考えるに至ったきっかけである「日本は幸福か」を読みながら,発行された時代から変わったこと,変わらないことについて思いをはせる時間となり,過労死問題に取り組むことへの意欲をさらに強めることとなった。
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