弁護士の仕事として,事件をこなすというものももちろんありますが,
どこぞから推薦依頼が来て,弁護士を当該公務の委員にする,ということがよくあります。
この春から,
札幌市コンプライアンス委員会というところで,委員を仰せつかっています。
この委員会は,札幌市における法令等遵守体制(コンプライアンス)の確立を図り,
職員等の公正な職務の遂行を確保するため設置されたものです。
外部委員5名から構成され,定例的に札幌市に於けるコンプライアンス確保に関する取組状況等について報告を受け,
意見を述べるとともに,札幌市の全ての職員がコンプライアンスを実践することを支援するのが役割です。
また,全庁的な見地から対応を要する重大なコンプライアンス違反事案が生じた場合には,
市長の求めに応じ,全庁的な対策本部による調査の監督,真相究明,再発防止策について市長に勧告したり,意見を述べたりすることもあります。
また,公益通報に関して,職員による通報を受け付け,札幌市の公益通報窓口に報告するという任務も担っています。
公益通報は,内部告発とも言われ,これによって組織のコンプライアンス違反が明るみに出ることも多いのですが,
コンプライアンス違反は,総じて,当該組織にとって「おいしい」ところに生じるため,
これを明るみにすることは,組織にとってありがたくないことが多いです。
そのため,公益通報者・内部告発者は組織から不利益に取り扱われる可能性が高くなります。
そんな公益通報者を組織から制度上保護するため,
公益通報者保護法という法律も出来ました。これは,公益のために通報を行った労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを禁止する法律です。
また,仮に一旦公益通報がなされても,その通報が適切に処理されないのであれば,
公益通報制度をつくった意味がありません。
約10年前に起きた食品偽装問題は,適切な処理がされなかったために1年近くも偽装食肉が出回ることになったということで,この良い例かと思います。
公益通報は,組織が健全であるならば,本来必要のない制度です。
しかし,それはどんな法律や制度も同じ。人でできた組織は必ずエラーを起こします。
弁護士がする仕事がなくならないのと同じように,公益通報の必要性もなくならないと思います。
なくならない以上は,きちんと対応していかなければなりません。
自分が窓口となった公益通報について,また,委員会で議論になる議題の一つ一つについて,
誠実に対応をしていかなければならないと考えています。
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弁護士 皆川洋美(札幌弁護士会所属)
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