最近インターネット広告でも多く出てきているので,ご存知の方も多いと思います。
「B型肝炎訴訟」
みなさん,「B型肝炎」という言葉に対して,どのようなイメージを持っていますか?
薬物犯罪者がかかる,あるいは異性関係にだらしない人がかかる。
そんなイメージの人も少なくないのではないかと思います。
これは,単なるイメージであって,全然違います。
B型肝炎ウイルスへの感染は,薬物犯罪の結果でも,異性関係のだらしなさによるものでもなく,
予防接種時の注射器の連続使用と,母子感染が殆どです。
B型肝炎訴訟は,幼少期に受けた集団予防接種などによってB型肝炎ウイルスに感染した方々の救済のため,B型肝炎ウイルスの蔓延を放置した国の責任を追及する裁判です。
みなさん,小さい時に学校で予防接種をした記憶はありませんか?
日本では,幼児を対象とする集団予防接種が明治時代のころから行われてきました。
この集団予防接種の現場では,同じ注射器の針や筒を連続して使用する実態が長く続いていました。
このような注射器の連続使用によって,B型肝炎ウイルスの感染が広がりました。
国は注射器の連続使用の実態を放置し続け,その結果,日本では肝炎が「第2の国民病」と言われるまで広く蔓延することになりました。
こんなふうにB型肝炎ウイルスを広く蔓延させた国の責任を追及するため
平成元年6月に札幌地方裁判所で国に対する責任追及の裁判が起こされ,
平成18年6月には,最高裁判所の判決によって,国の責任が認められました。
ところが,国はその後も,B型肝炎ウイルス患者の救済をしようとはしませんでした。
そのため,平成20年12月には札幌地方裁判所で国の責任追及の裁判が再度起こされ,
その後は,東京地方裁判所,大阪地方裁判所,福岡地方裁判所など全国の裁判所に次々と裁判が起こされました。
長い戦いの結果,平成23年6月には,国と原告団,弁護団との間で国の損害賠償金の支払いについての「基本合意」,平成27年3月には「基本合意その2」を成立させました。
これらの基本合意に基づいて,現在,国に対して,損害賠償の裁判を起こし,必要資料を提出することによって,給付金の支払が得られるようになりました。
私が弁護士になるため勉強をしていたのは,この基本合意成立前のこと。
B型肝炎訴訟との出会いは,北海道の原告番号1番,清本太一さんのお話を,受験生向けの講座でお聞きしたことでした。
「B型肝炎」というものについて,偏見も徐々に少なくなってきた頃だったろうとは思いますが,
原告のみなさんが自分の名前を出して活動することの苦労は,当時の想像力に乏しい私にも想像に難くありませんでした。
友人の家で食器を別にされる。
お風呂を使われることを拒まれる。
結婚を断られる。
治療のために休むことで解雇される。
そんなことがあっていいんだろうか。
自分の責任でも何でもないのに。
個別の被害者救済の問題ももちろん,
どうしてこのような事態に陥ったのかという真相究明,
今後の再発防止・現在感染している人達の今後のための恒久対策。
基本合意にはこれらが盛り込まれました。
私は,弁護士になったら必ずB型肝炎訴訟に関わりたいと思って受験勉強をしていた記憶です。
お金になるかどうかなんて正直どうでもよくて,こんな問題があるのを無視して,
カッコイイ弁護士になんてなれないと思いました。
基本合意に基づいて,先日は厚生労働大臣との大臣協議を行っているのも,当弁護団です。
また,真相究明の結果のパンフレットの発行,恒久対策のための議員連盟,今後のための医療関係者や一般市民向けの教育・啓発活動。
まだまだ手を着けなければならないことはたくさんあります。
自分がこの弁護団の中で役に立てることは,全ての肝炎患者さんのための役に立てること。
そう思うといろんなことががんばれちゃうのです。
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