去る6月2日・3日、事務所の弁護士2名で、過労死防止学会に出席してきました。
過労死防止学会は、過労死(過労自殺および過労疾病を含む)の実態、原因および背景に関する調査研究を行い、その成果を過労死の効果的な防止のための対策と取り組みに生かすことを目的として、
過労死等防止対策推進法の成立を受けて設立した学会で、今年で4回目の大会が開催されたのですが、その会場が北海学園大学でしたので、2名で参加してきたのでした。
1日目は「日中韓・過労死防止国際シンポジウム」として、アジア3国の過重労働問題についての報告と質疑応答がありました。
中国:楊河清・童玉芬・王欣「中国過労問題研究の現状」
韓国:任祥赫(イム・サンヒョク)「韓国で始まった過労死防止運動」
日本:松丸 正「過労死110番運動の30年間」
2日目は分科会。
第1分科会 建設関連産業の就業実態と過労死
松浦洋一郎「建設労働者の社会保険未加入を端緒とする不安定就業の考察」
中澤 誠「東京五輪と建設業界」
石川啓雅「専門的技術的職種の労働時間-“働き方改革”の行方を考える」
第2分科会 医療現場の長時間労働と働き方
中原のり子「医師の過労死、これからの展望」
大利英昭・杉山拓也・佐藤忍・松井愛子「PNS(Partnership Nursing System)の時間外労働と疲労」
田村 修・吉岡愛未「新人看護師サポートプログラム9年間のまとめ」
第3分科会 教員の「働き方改革」の取り組みと課題
工藤祥子「教職員の働き方改革に関する活動報告と今後の広がりへの課題」
尾崎正典「災害発生から10年目に出された東京高裁、最高裁の判決文における内容
―全国の教職員の長期休職取得の状況、在籍死亡者の数、等より災害対策に対する提言
大西正和「教職員の職場環境変革の課題と戦略~娘の生死との葛藤から~」
第4分科会 裁量労働制と長時間労働の実態
今野晴貴「裁量労働制における労務管理の実態分析―求人情報及び紛争事例による「グレーゾーン」活用及び労働市場の階層特性の解明―」
三家本里美「企画業務型裁量労働制の導入・運用をめぐる労使関係」
塩見卓也「裁量労働制の制度上の問題点と論点」
青木耕太郎「裁量労働制へのユニオンの取り組み」
第5分科会 職場のハラスメントと過労の実態
奥田雅治「市バス運転手の焼身自殺と公務災害認定」
前田和美・西垣迪世「神戸製菓会社20歳青年パワハラ自死事件」
色部 祐「自験例を通じて脳・心臓疾患および精神障害労災認定基準改定の検討」
坂口真澄「増加する客室乗務員の在職死亡、過労の実態と提言」
第6分科会 韓国・中国の過重労働と過労死
姜守乭(ガン・スドル)「韓国における過労死問題の社会経済的背景」
午後からは、通論題「過労死問題からみた“働き方改革”の諸問題」として、報告とパネルディスカッションが行われました。
上西充子「労働時間規制の強化と緩和、抱き合わせがもたらす弊害」
濱口桂一郎「EUの労働時間法制とその含意」
森岡孝二–「36協定による労働時間規制の解除と時間外労働」
分科会はどれも興味深かったので、一緒に行った方々と資料の交換などをして、多くの情報を手に入れることができました。
今後の過労死問題への取り組み・過重労働・職場問題への取り組みに生かしていきたいと思います。