- いろいろな人がレビューをしているし,私はあまり書籍のレビューが得意ではないのですが,先日,家族で話題に上り,小説も読み返しました。
- 残穢 (新潮文庫)/新潮社
- ¥637
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- これは,今年映画化されたので,ご存知の方も多いのではないでしょうか。
話しても祟られる,聞いても祟られる…って,じゃあそんなの教えないでよ。
ってかんじの作品です。 -
- 最初にこの作品を読んだときに,「こわいなー」とは思ったものの,なによりも気にかかったのは,炭鉱事故のことでした。
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- 炭鉱事故が起きて,その穴の中で…
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- 平成24年8月に,夕張の北炭新鉱跡に行くことがありました。
- 北炭新鉱とは,こんなところです。(ウィキペディアより)
1981年(昭和56年)10月16日に北海道炭礦汽船(以下「北炭」と表記)の関連会社「北炭夕張炭鉱」が経営する夕張新炭鉱(北海道夕張市。以下「北炭夕張新炭鉱」と表記)で発生したガス突出事故,およびこれに伴う坑内火災事故である。最終的な死者数は93人にのぼり,戦後に発生した炭鉱事故の死者数としては1963年(昭和38年)に発生した三井三池三川炭鉱炭じん爆発の458人,1965年(昭和40年)に発生した三井山野炭鉱ガス爆発事故の237人に次いで3番目の事故となった。
その時にfacebookに書いた記事をそのまま貼り付けます。
この,93人が死んだ,そしてそれが経済合理性のもとやむを得ないと思われていた。
しかも,この事件に対する解決は,事故から10年以上もかかってやっと解決を見た。
そして,「賠償」が「解決」なのか。
そんなことを思いながら,暑い夏の日に歩いた記憶です。
ひとつ断っておきたいのは,北炭新鉱の被害者の方が祟るとか祟らないとか
そういう話をしたいのではないです。
もちろんのこと。
ただ,小説にもしたくなるくらい,炭鉱事故は惨烈で,いくら恨んでも恨み切れないと思う。
それが,家族のために,命をかけて働いたひとたちだからこそ。
そして,会社のために,命をかけて働いたひとたちだからこそ。
この事故は,会社が炭鉱夫を裏切った事件だと思います。
先日,夕張の北炭新鉱事故について,学ぶ機会がありました。
事務所のボスが修習生の時にあった事故で,弁護士一年目から集団訴訟として取り組んでいたそうです。
概要としては,夕張にある北炭新鉱でガス爆発が起こったことが発端。
そのため,93人が中にいると分かっていながら,会社は中にある石炭が燃えてしまって会社の損害が拡大することを防ぎたいと考え,事故から数日の間に炭鉱に注水をしてしまいました。
そして,この注水に先立って,家族から注水の同意書面までもらっています。
中での火災で亡くなった人ももちろんいますが,注水や,ガス対策が不十分であったために亡くなった人が半分以上。
その後,閉山した炭鉱の入り口は,いつまでも息が出来るようにと,外の閉山した炭鉱とは違って,鉄格子でふさぎ,空気が通るようにしてありました。
実に勉強不足なことに,私は修習生になってからこの事故のことを知ったのですが,こんなこと世の中にあったのか!と驚いたことをよく覚えています。
ボスからは,そもそも北炭が夕張でもっていた権力のため,原告が集まらないという話から,主張・立証の苦労など,たくさんの話を聞いていたのですが,現場を実際に見て,当事者だった人達の話を聞いて…
自分も,こういう事件を見聞きしたら,やらなければならない,と思うんだろうな,と思いました。
だって,そうでしょ。
石炭は燃えても,これから別の鉱山はあるのに,人は帰ってこないでしょ?
お金の為に,生きてる人がいるって分かっている穴に注水するって,殺人じゃないの?
家族に,注水の同意を取るってどういうこと?
自分の夫が,息子が,中にいて,生きてるかもしれないと分かっていながら,注水に同意する書面にサインした人達の気持ちを思うと,ぞわっとする。
毎日の仕事に忙殺されがちだけれど,このぞわっとした気持ちを忘れないでいたいと思うのでした。
会社をつぶさないため,労組が成り立っていくため,労働者を養うため,
いろんな利害関係があるのだということを知るにつけ,
余計に「ぞわっ」がなくならない。
政府の事故調査報告書によれば,
「一次災害(ガス突出)の原因は現場付近はもともとガスが多いうえガスが抜けにくい環境であったにもかかわらず,ボーリングなどのガス抜きが不十分だったことが事故に結びついた。」
「また,二次災害(坑内火災)については静電気が火元とされ,救護隊員が持ち込んだビニールシート,もしくは救護隊員の身体による帯電とし,いずれも不可抗力による事故ではなかった」
という。
炭鉱夫を「人」だと思っていたのだろうか。
当該事業の景気不景気もあろう,はやりすたりもあろう。
会社の経営がうまくいかなくなって倒産することはあることだ。
でも,人を物のように扱う企業に未来はない。
そんなことを思う今日である。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161107/k10010758191000.html
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