検索ワードから記事を書くシリーズ第何回目か。
今回は,「婚姻費用支払義務者が無職になったら?」です。
このワードで検索された方は,どのような立場の方でしょうか。
婚姻費用支払義務者の方でしょうか。
あるいは,婚姻費用の支払いを受けている方でしょうか。
答えはシンプル…に行きたいのですがなかなかそうもいきません。
間違いがないように説明するとしたら,
調停等の新たな合意がない限り,従前の内容での差し押さえ等が可能。
新たな合意をするために調停を申し立てることで,合意が成立しなくても審判によって正当な婚姻費用の金額が決まる。
といったところでしょうか。
以前,婚姻費用について,以下のような記事を書いたことがあります。
無職になるということは,この記事にも書いた,婚姻費用支払義務者の収入がゼロとしてカウントされるということです。
これは,養育費でも婚姻費用でも同じで,また,職業が変わって,収入が増えたり減ったりといった,計算式の中に入れるべき内容が変わった場合,金額は変わってきます。
このほか,養育費の場合には,ほかに扶養するべき家族ができた(再婚した,新しいパートナーとの間に子供が生まれた等),
あるいはいなくなった(亡くなった場合など。子供が成人することについては織り込み済みの場合が多いです)ということでも計算の中に入れるべき内容が変わってくるので,
養育費の金額も変わってきます。
そして,検索ワードで検索してこられた支払義務者の方が望んでいた答えとしては,婚姻費用減額の調停を申し立てれば,婚姻費用はゼロになる!ということでしょうが,
一方で,例えば計画的に無職になった場合だとか,自営業の方であえてゼロ申告したような場合については,この限りではないこともあります。
そのため,婚姻費用支払義務者が無職になったからということだけで,必ず婚姻費用がゼロになるとは言えません。
そのため,「正当な」金額が決められることになる,という結論になるわけです。
また,差し押さえの件についてですが,支払を受ける側としては差し押さえ時にある最新の調停調書等の判決と同じ効力のある書面があれば,手続きをすることができます。
また,裁判所としても,その後に口頭での合意があったかどうか,双方の経済状態が調停の時と同じかどうかということについてまで確認して差し押さえをするわけではありません。
口頭で理解を得たということをお話される方もいますが,その理解を得た,合意をしたということを裏付ける証拠がなければ差し押さえをとめることはできません。
(もしあれば話は違ってきますが,そのような書面を作るなどしているのに差し押さえをすることは考えにくいですよね)
その結果新たな合意がない限りは裁判所としても差し押さえを続けるという結論になるわけです。
婚姻費用の支払いのこと,養育費の支払いのことについてお悩みの場合には,こうしてブログ記事で調べるのもいいですが,やはりひとまずご相談いただくのがいいと思います。