「ウチャシクマ」
write by 皆川 洋美
歯の治療をしたところ,あまり体調芳しくなく,自宅で読書をして過ごした忘年会が一番多かった先週末。
デモには出たけどね!(当然だ!という突っ込みが入りそうな気もしつつ,出たんか!という突っ込みが入りそうな気もしつつ。)
仕事関係の本が多かったのですが,関係するとは言っても少し読み物として面白いな,と思った本をご紹介します。
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「ウチャシクマ」というのは,
「古い話を聞かせる。自分の体験や経験を聞かせる。」
という意味の日高地方の浦河郡から東部のアイヌ語の方言だそうです。
アイヌ遺骨返還訴訟の原告である小川隆吉さんの半生について,
瀧澤正さんという元高校教諭の郷土史研究家の方が一定の裏付けを前提に聞き書きをしたものです。
小川さんについて紹介するのにあたって,本の帯を引用すると,
「朝鮮人の父と,アイヌの母をもつ,元北海道ウタリ協会理事」
という書かれ方をしています。
私がこのアイヌ遺骨返還訴訟に関わるようになったのは,
弁護士1年目の時に法律相談センター研修で
市川弁護士に指導担当弁護士を受け持って頂いたという縁で,
事務所に出入りするようになったことがきっかけでした。
市川事務所で訴状を読み,いろいろと意見を言ったところ,いつのまにか代理人に!(笑)。
現在は,マスコミの人にも追われつつの和解協議をしているところです。
弁護団全員が行ける日に合わせるとあまりに進行が遅くなるので,
あまり期日に行けないではいるのですが,
浦河まで自動車を運転して,浦河町営墓地の現地調査をして,原告のユリさんの作ったおやつを食べたのが懐かしいです。
そういえば,有史以来北海道は…なんて,アイヌの歴史を学べば口から出てくるわけもないのですがねぇ。
ちなみに,アイヌの先住民族性というのは,歴史の勉強が嫌いだった私でも分かっている問題でしたが,本質はもっと奥深かった。
「tribe」という,日本語に何とも翻訳しがたい言葉の権利について市川弁護士からレクチャーを受けて,一生懸命学びました。
tribeが関わる問題についての準備書面は一人で書けないけれど,本を読むときの前提としては分かってきた(分かったとはまだ言えない…)と思います。
どういう解決が良いのか,丁寧に考えていかなければならないな,と思っています。