裁判所法改正案が衆議院を通過しました

昨日の衆議院本会議で,裁判所法の改正案が全会一致で可決されました。

平成29年11月1日施行で,司法修習生に対して,原則として月額13万5000円を支給するという内容のものです。

 

 

 

内容が十分なものであるかどうかについては,もちろんこれから検討が必要です。

 

13万5000円がいわゆる手取りではなく,

ここから国民健康保険料や国民年金等の支払,前年度になにがしかの収入があれば住民税の支払などをすることを考えると,

貸与も併用するとしても,実際の可処分所得は10万円を切ることが想定されます。

また,この金額ではいわゆる扶養に入ることもできません。

ですから,この金額で必要十分かどうかには疑問なしとしません。

 

また,司法修習生が修習に専念する義務を負っていること,

そして,その趣旨が,司法修習が修習時間内に充実した修習をする必要があり,

また,拘束時間以外に研鑽を積むための勉強時間等が必要であることからすれば,

アルバイト等で不足する金額を補うということは適切ではないと考えます。

そのため,具体的な金額についても,今後検討の余地があると考えられます。

 

また,今回の法律案では,新65期から70期までの貸与世代についての救済措置は謳われていません。

これについても,目の前にいる1万人余りの貸与世代について(全弁護士の25%に及びます),

何ら措置を執らないということがあっていいはずがありません。

 

給費生廃止に関する一連の訴訟は,この裁判所法改正によっても取り下げるということはありません。

今後の参議院での議論に期待し,また,継続して働きかけていかなければならないと考えています。

活用漏れはないですか?~和解による給付金制度~

B型肝炎訴訟で和解をした方がたへの注意喚起です。

 

まずは,和解成立,おめでとうございます。

そして,たくさんの手続を踏まれてきたものと存じます。

おつかれさまでした。

 

和解が成立した後,一時的な給付金のほかに,基本合意に定められた

様々な制度がありますので,ご不明の点はB型肝炎訴訟北海道弁護団までお問合せください。

 

4月1日にアップしていますが,エイプリルフールじゃないですよ!(笑)

 

私たちが目指すもの~全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団のあゆみ~

先だって,アンケート調査報告書の記事をアップしました。

この原告団・弁護団のあゆみについてのパンフレットもできあがりましたので,

それについてもアップしたいと思います。

 

「子供が健やかに成長するように」

我が子の健康を願って受けさせた集団予防接種で,

一本の注射器が使いまわされていました。

これにより,多くの子どもたちがB型肝炎ウィルスに感染しました。

国は,この問題について正式に謝罪し,平成23年6月28日,

私たち原告団・弁護団との間で,被害者を救済する基準などを定めた

「基本合意書」

を締結しました。

この基本合意に基づき,被害者を救済する特別措置法も成立しています。

私たちは,被害者の個別救済とともに,

全てのウイルス性肝炎患者が暮らしやすい社会の実現を目指して,

活動しています。

 

 

この活動の成果として,これまでに実現した施策の代表的なものは以下の通りです。

 

核酸アナログ製剤の助成申請手続きの簡素化

 

障害年金の認定基準の明確化

 

身体障害者手帳の認定基準の緩和

 

初回精密検査・定期検査への助成開始…

 

 

多くの成果を上げていますが,これは原告団あってこそ。

多くの法律事務所がB型肝炎訴訟の取扱いをしていますが,

全国B型肝炎訴訟弁護団に連なる原告団だけが,このような活動をしています。

 

これから提訴をお考えの方は,ぜひ,全国B型肝炎訴訟弁護団に連なる弁護団へご連絡ください。

撤退の決定を受けて ”南スーダンPKO派遣差止訴訟報告①”

予約投稿はこれだからだめですな…。

 

5月末に南スーダンPKO派遣を撤退することが発表されています。

とはいえ,森友学園問題の記者会見の時間にかぶせるかのように…。

なぜこのタイミングか?と疑ってかからざるを得ません。

一方で,このタイミングででもなければ,決めることができなかったのかもしれません。

 

内戦状態を理由とするのであれば,現時点において憲法違反なはず。

5月末と言わずにただちに撤収するべき状況です。

 

また,陸自隊員5人が政府軍に一時拘束されたという報道もありました。

1時間程度で釈放されたということですが,この理由としては,

政府軍が武器取り締まりをしていたところ,

銃を携行していた陸自隊員を民間人と誤解したということだそうです。

つまり,銃の携行が許されていることがひとつの原因でもあったわけです。

また,日本の陸自隊員という存在が現地では認知されていないということなのでしょう。

 

現時点では,次回期日までに陸自隊員が撤退完了しているかどうかわかりません。

質問を受けることがありますが,現時点でこの訴訟の取り下げということは考えられません。

残業上限規制の合意がなされた件について”★新ストップ!過労死 全国ニュース3号発行★”

今日,予約投稿で以下の記事を投稿したばかりでしたが

昨日の夕方から報道がなされている残業代の上限規制問題について

触れなければなりませんね。

 

政府の目指す残業時間の上限規制問題について,

「100時間未満」という方向で決着が図られる見通しとなりました。

 

 

経団連と連合とで,罰則付きの時間外労働の上限規制導入につていての合意をしたのだそうです。

その具体的合意内容は以下の通りです。

 

① 残業時間の上限規制は月45時間,年360時間を原則とする

② 一時的な業務量の増加がやむを得ない場合には特例として上限の引き上げを認める

 ア 1年間では720時間,月平均60時間

 イ 2~6か月平均は80時間以内

 ウ 単月は100時間を基準

 エ 残業が月45時間を上回るのが45時間を上回るのは年半分を超えない

 

これらについては,罰則付きで実効性を担保すること,

36協定の記載内容についての規定なども盛り込まれるようです。

一方で,インターバル規制のことについては具体的には合意されていないようです。

 

これについて取材もいくつか受けましたが,やはり気になるのはイウの部分でしょうか。

いずれも,過労死ラインを超えた設定となっています。

過労死ラインを超えた時間外労働を労基法が許容するような内容になるのは異常です。

また,これらを超えない限り企業の安全配慮義務は果たされたという解釈にもなりかねません。

 

もし刑事罰という観点でのみの合意であって,80時間に至らない時間であっても,

たとえば月45時間を超えることが常況となっているような会社について,

労基法上の行政罰規定が盛り込まれるとか,

時間外労働の管理がなされていない企業への対策(刑事罰でもいいかもしれません)

そういったものと抱き合わせであれば,また違った評価をすることもできるのかもしれません。

 

もちろん,悲願の上限規制ではありますが,まったく安心することができません。

本当に過労死等の防止を考えているのか,強い疑問が残る合意内容です。

★新ストップ!過労死 全国ニュース3号発行★

過労死とは,

「働き過ぎが原因となって引き起こされる死」

です。

 

長時間労働による疲労や精神的負荷が過度に蓄積すると心身の健康を損ない,

ついには死に至るとされています(2000年3月24日電通事件最高裁判決)。

脳内出血や心筋梗塞など身体が破綻するのが過労死

うつ病の発症など精神が破綻するのが過労自殺(過労自死)であるといえます。
 

過労死・過労自殺は,無理をしてまじめに働いている人を突如襲い,大切な人を突然奪っていきます。

家族の心配は,突然現実のものとなるのです。

 

従前から,過労死等問題に対する取組については記事にしてきました。

http://karoshi-boushi.net

私は,この過労死等防止対策推進全国センターという,過労死等の防止に取り組む民間団体の全国幹事を務めています。

先日,昨年の過労死防止全国センターの取り組みをまとめた全国ニュース第3号が発行されましたので,ご紹介です。

 

 

 

http://karoshi-boushi.net/wp-content/uploads/2017/03/6a1cde976c97b980bfd7956974d6f053.pdf

 

この中で,私の書いた記事は,以下の通りです。

 

1⃣昨年9月の講義実施要請を受けて,今年1月10日時点で,札幌市内外の中学校,高校,大学での10回以上の啓発講義を実施した。

最初に実施した大学での講義は,電通過労自死事件の労災認定が報道された直後だったこともあってか,複数の報道機関が講義の様子を取材し,実際に特集として報道され,報道を見た元依頼者などからの連絡を受けた。
過労自死遺族の講話は,「どうかこの学生たちに過労自死しないでもらいたい」という願いのこもったもので,学生たちにもその思いは伝わったものと思う。
また,このことをきっかけに,第2回北海道シンポジウムに学生が出席し,また,シンポの開催報道に結びついたという経過もある。全ての活動は有機的につながっているのだと言わざるを得ない。

 

2⃣中学・高校での講義で,遺族の帯同はかなわなかった。生徒たちの精神的ショックが想定されるという担当教員の懸念による。
とはいえ,遺族からの講話に代わって流したDVDを食い入るように見ている様子を見ると,
事実をきちんと伝えることも大切なのだと改めて感じさせられた。
電通事件の後であり,「カロウシ」という言葉を知っている生徒たちも少なくなかったが,
自分にも起こりうるということの想像はなかなか難しかったと思われる。
そのため,「自分を大切にしなさい。」「生きるために働くのであって,働くために生きるのではない。」「死ぬよりつらいことなんて何もない。」と説き,講義を終えた。
その後,春から就職する生徒が「俺は相談するから。」と言ってくれたことに大変救われた思いでもあった。

3⃣なお,北海道での過労死啓発講義は,距離の問題も大きいと感じる。
札幌に人口集中しているとはいえ,面積は日本の面積約38万㎢の22%を占める。
地方裁判所が4つある都道府県は北海道だけである。
そのため,ある高校での講義をするために,私は前日夜からその地域に行かなければならず,往復の移動時間は講義時間の約6倍であった。
とはいえ,私も弁護士である。書面陳述2分のために,事務所から裁判所まで往復20分をかけて移動する。10倍と6倍を比べれば…と思って,深夜バスに乗り込んだのであった。
結局,その移動時間は,私が過労死問題を取り扱いたいと考えるに至ったきっかけである「日本は幸福か」を読みながら,発行された時代から変わったこと,変わらないことについて思いをはせる時間となり,過労死問題に取り組むことへの意欲をさらに強めることとなった。

 

B型肝炎患者診療実態等調査報告書が出来上がりました

B型肝炎患者の皆さんの医療費助成制度の充実のための基礎資料として,

平成28年2月に,B型肝炎訴訟原告団に対して,アンケート調査を行いました。

 

そのアンケート調査によって明らかになったB型肝炎患者の診療実態です。

 

「国(厚生労働省)は,本件感染被害者を含む肝炎患者等が,不当な偏見・差別を受けることなく安心して暮らせるよう啓発・広報に務めるとともに,肝炎ウィルス検査の一層の推進,肝炎医療の提供体制の整備,肝炎医療に係る研究の推進,医療費助成等必要な施策を講ずるよう,引き続き務めるものとする。」

と基本合意において約束しており,その実現のため,厚生労働大臣との協議も行っています。

そのような協議を行ったり,医療費助成制度の充実等に向けて活動しているのは,

全国B型肝炎訴訟弁護団とそれに連なる各地の弁護団だけです。

 

 

http://bkan.jp/

フェミの概念についてつらつら思うこと(予約投稿につき時機に沿っていないです)

「フェミニスト」とか「フェミニズム」とか「フェミ」とか,とにかくなんでもいいのだけれども,なんとなく自分の中で,そういうふうに評されることについて抵抗があるんだ,という話。
そして,「結婚の条件」という記事を書いてからやたらとアクセス数が上がったので,弁護士に聞きたいことを調べているというより私の考えていることでも書いた方がおもしろおかしいのではないかと思ったので書いてみようと思った,という次第。

男女の定年制度の差別があった時代。
女性は30歳定年制度だった時だったら,じつは(もなにもわかるだろうけど),わたしはもう仕事をしていない。
あー。弁護士はまぁいいのかな。自営業だし。
でも,とにかくいわゆるオフィスレディとしては今のわたしでは働けないということだ。
そのことには違和感(というか働かせろよという切実な問題でもあるのかもしれない)があるけれど,個人的には「奥さん」と呼ばれることに抵抗があるわけではない。
なんというか,クリスチャン以外の人がクリスマスに浮かれた気持ちになるとかツリーのてっぺんに星を飾るとか,そういうレベルのことに感じる。
一方で,自分の配偶者のことを外の人に話す時,「主人」という表現を使うことには抵抗がある。

「夫」は戸籍法上の表現だから使うけれど,なんとなく人の呼称としてはふさわしくない感じがするので,「夫氏」という呼称を使うことが多い気がする。
とはいえ,じゃあこのブログでは,人の夫のことも書くこともあろうと思うので,そうなると「夫」という文字がゲシュタルト崩壊するか,あるいは違う人のことを指しているのに誤解を受けかねないと考えるに至って,
結局外貌がくまのような(人だと,わたしが思っている)のでなんとなくくま氏と呼んでいるというそういう次第。
友人とLINEする時には「夫氏」か本名で通じているのでいいことにしている。

ところで,先日「結婚の条件」という記事を書いたときにご紹介したネジ子さんという方のブログ。
私はネトスト的に読み返していたのですが,結婚式の準備のためのゼクシィを買った時の記事が面白かったので,またもリンクを貼ってみる。

カリントボンボン「■」(結婚パーティー的なことをしようかな、と思ったので)

ゼクシィ買うのにそこまで抵抗はなかったものの,読んで思ったのは
「あー商業誌だったね」
ということで。

ゼクシィ先生によれば,4号買っていろいろ学べと書いているので,とりあえず1号は自分一人で読み,次にくま氏と2号目を読み…したところで,二人ともそういう結論に至ったので,たぶん商業誌ということで間違いないのだろうと思う。
それでも3号は買いました。必要性に駆られて。
結婚式のうちあわせをするのに,「自分好みの式場の飾りつけなんかがあったら切り抜いて貼ってください!」という宿題を与えられ,自分好みが何なのかほとんど分析していなくて困ったので,3冊くらいあればどこかに自分好みのものくらいあるだろうと思って買いました。
結果として,やっぱり自分好みのモノというのがあったので,あー少しのことにも先達はあらまほしきことかなとか思いながらうちあわせをしたくらいにして。
4号目は買いませんでした。これから買う予定も特になし。
正確にいうと,結婚する何年も前に,付録でついていたハンコケースがあんまりかわいかったのでそのケース欲しさに買ったことがある(激白)ので,
その時のも合わせて人生で34買ったということで許しておくれ(誰に許してもらってるのかはよくわからない)。

このゼクシィ先生を読んで,結婚式場というのは,いろんな式場を巡って,条件や自分たちの「夢」をかなえてくれるところに決めるのが普通なのだ的なことが書いてあって,おろろ,となったりもしたけど,
まぁ商業誌だという結論が出れば,まぁ,世の中一般的に結婚式に参列した人が喜ぶものとか楽しむものとかがどういうものなのかとか,予算でぼったくられてないのかとか,そういうところを知るためのツールとしては大変便利ではありました。
なので,これから結婚式する人はちょうど良いタイミングの時に1冊くらい買ってニヤニヤしたらいいよ。
毎号ちょっとずつ内容は違うけど,商業的なところはほとんど同じだし,毎号付録が違うからちょうど好きそうな付録の時に買うのでいいと思うけども。

と。そんなことを言えるくらいには,ゼクシィ先生は参考にしたし,結婚式の準備で一番テンション上がったのは衣装合わせだったしで,きちんとしたフェミニスト(というものがあるのかは知らないけど)の人たちに比べたらきっとフェミ度低いのですわたし。
先日の記事で書いたように,デートとかで浮かれるタイプだし。

とはいえ,結婚をするということによって発生する戸籍上の問題について,非常にくま氏とももめた(というかわたしがひとりでさわいだ)。
結婚によって失われるいわゆる「旧姓」の問題は,弁護士であっても逃げられるものではなく。
具体的に言えば,おそらく女性弁護士の9割以上は,婚姻したことによって戸籍上は夫の氏を名乗り,一方でこれまでの弁護士としての名前を使い続けるメリットや名誉などのため,旧姓を職務上の氏名として使い続ける手続きを執ってるはず。

わたしが職務上氏名を名乗るのかどうか,その前提として,法律婚をした時の氏をくま氏に合わせるのか,法律婚をするのか,そういうところにまで。
とはいえ,くま氏のプライドはそんなところにはなく。
結果として円満な結論が出ております。
どう結論を出したかというのはまた別のお話。

とかく,私は自分がフェミニストの諸先輩がたに比べてあまっちょろいと思っているし,かといって保守的な人から見れば十二分にフェミニストらしいし,自分をどう評価したらいいのかと思っているところなのであります。

ブラック企業大賞いけたのでは

私が日常的に取り組んでいる課題として,いわゆる「ブラック企業問題」があります。
こんなブラック企業があったので,お伝えしておきます。

入社するための条件は2つ(原則)。
1つは,大学院を修了していること。
もう1つは,会社が設定する試験に5年以内に合格すること。

大学院も指定された学科でなければならず,指定されていない学科を出ても入社できません。
また,試験に5年以内に合格しなかった場合,もう一度大学院に入り直す必要があります。

入社後1年1ヶ月の研修があります。

その研修の場所は,自宅から通える場所とは限らず,
北は旭川から南は沖縄まで,全ての都道府県があり得ます。
希望は一応聞きますが,通るとは限らず,自分の希望していなかった地域での研修もあり得ます。

研修は朝9時から遅いときには20時以降まで続きます。
研修といっても,基本的にOJTで,座学は殆どありません。

研修中に給与は一切出ません。
生活費がなかったとしても,原則として副業は禁止です。
可能な副業は,大学院の試験採点くらいのもので,
生活費をまかなうのに十分なアルバイトをすることは事実上不可能です。

もちろん,雇用保険,年金,健康保険,いずれもかけてくれません。
会社の中には先輩達が使える共済保健室などがありますが,使うことはできません。
たとえどんなに体調が悪くても。

給与が一切出ない代わりに,一応会社が月々23万円を貸し付ける制度を持っています。
しかし,2人の保証人か,機関保証が求められます。
ちなみに,その貸し付けたお金は「所得」として扱われるので,親の扶養に入ることは出来ませんし,
年金や健康保険の掛け金の免除を求めることもできません。

そして,貸付けた約300万円については,研修終了後5年経ってから,
毎月5万円ずつ返済することが求められます。

海外留学をしたら,その一括返済を求められます。
引越をしてその報告を忘れても一括返済を求められます。
免除されるのは,本人が死んだ時かこれに準じた時くらいのものです。

こんなブラックな会社,なかなかありませんよね。

これ,どこの会社かご存知ですか?

最高裁判所です。

「司法修習生」と言って,司法試験を受けて,裁判官,検察官又は弁護士になる前に
研修を受けている段階の人達の生活のことです。

司法修習に専念する義務を負い,生活費は一切支払われない。
それが,この国が,司法インフラを育てるためのシステムとして平成23年から始めた制度です。

私は幸いにも,この司法修習の時に,「給費制」と言って,
公務員として取り扱われ,給与が支払われ,共済にも加入していました。
もちろん返済義務なんてありません。

しかし,私の後輩達が,この給費制を廃止され,貸与制とされた中で司法修習を行ってきました。

司法試験を受験しようとする人達は平成16年から比べて4分の1以下に減っています。

大学院の学費,奨学金,司法修習の生活費,これらをまかなえる家庭が今どのくらいあるでしょうか。
年間の生活費300万円をとっておけるだけ,司法試験受験生がアルバイトをすることなんてあり得ません。

こんな大きなブラック企業を放っておくことなどできないと考えて,司法修習生の給費制復活に向けた活動をしていますよ。
そして,今回裁判所法の改正が閣議決定されたことによって,今後最高裁はブラック企業とまでは言えなくなりますよ。
という,ご紹介でした。

とはいえ,谷間の世代の問題についてなんら対応策がとられていないことは問題で…。
新65期から70期までの世代はこのブラック企業での司法修習を受けてきているわけです。
この問題を解決する必要があるのではないか!ということで,まだまだ活動は続きます。

裁判所法の一部を改正する法律案についての閣議決定

昨日,裁判所法の一部を改正する法律案についての閣議決定がなされました。
 
首相官邸平成29年2月3日(金)定例閣議案件
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2017/kakugi-2017020301.html
法務省

http://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00150.html

 
これによれば,
司法修習生に対し国が修習給付金を支給する制度の創設等(裁判所法第67条の2及び3関係)をすることとなり,
①司法修習生には、その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、修習給付金を支給すること。(裁判所法第67条の2第1項関係)
②修習給付金の種類は、基本給付金、住居給付金及び移転給付金とすること。(第67条の2第2項関係)
などが閣議決定されたとのことです。
このほか,司法修習生の罷免以外の停止や戒告に関する条文などの新設もありました。
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASK226QCKK22UTIL04J.html
政府は3日、司法修習生に国が「修習給付金」を支払う新制度を設ける裁判所法の改正案を閣議決定した。修習生に対しては、給与などを支払う「給費制」があったが、財政負担が大きいとして2011年に廃止。無利子で貸し付ける「貸与制」に移行したが、日本弁護士連合会などが給付型の制度を求めていた。
 司法修習は、司法試験に合格した人が裁判官や弁護士などになるために、約1年間の修習を受ける制度。期間中のアルバイトなどの兼業は禁止されている。
 法務省によると、新制度は、修習生全員に月額13万5千円を支給する。さらに自宅を離れて修習先で家を借りる場合には、住居給付金として月額3万5千円を上乗せする。引っ越しに対しても一定額を支給する。貸与制も、希望者に対して続けるが、貸与する額を減らすという。支給額は年間で総額30億円になる見通しで、今国会で法案が成立すれば、今年の司法試験合格者から実施するという。
 また今回の改正では、修習生の懲戒制度も見直す。現行法では修習期間中に「品位を辱める行為」などをした場合は「罷免(ひめん)」されるが、「修習の停止」と「戒告」を新たに設ける。罷免するほど重大ではないものの、修習生の行動に問題があった場合に対応する。
 
日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H03_T00C17A2EAF000/
政府は3日、司法試験に合格した司法修習生に生活費などとして毎月13万5000円を一律支給する制度の創設を盛り込んだ裁判所法改正案を閣議決定した。2017年以降の合格者が対象。現在は一定額を無利子で貸し、分割返済してもらう「貸与制」があるが、支援を充実させて法曹志望者の増加につなげる。
 新制度では月ごとの一律支給に加え、修習のため賃貸住宅に住む場合などに月3万5000円を上乗せする。引っ越し代も一部負担する。貸与制も併存させる。
 司法試験の合格者は裁判官や検察官、弁護士になる前に司法研修所で実務研修を受ける。この間は原則として収入がなくなるため、従来は修習生には月約20万円を一律支給した。ただ司法制度改革で合格者が大幅に増え、財政負担抑制などを理由に11年には貸与制に移行した。
 
時事通信
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020300357&g=soc
政府は3日の閣議で、司法試験離れに歯止めをかけるため、司法修習生の生活費として月額13万5000円の「基本給付金」を新設する裁判所法改正案を決定した。今国会での成立を目指す。
 家賃を補助する「住居給付金」と引っ越しに伴う「移転給付金」も新設。今秋から修習を開始する修習生に対応できるようにする。
 現在、修習生に対し、月額約23万円の無利子貸与制度がある。政府は同制度の規模を縮小して給付金との併用を認める。
 
詳細な情報はまだ正式に流れてきていませんが,平成29年11月1日施行予定ということで,期待をしているところです。