コラム
弁護士の皆川洋美です。 なるなる面会交流通信、徐々に追いついてきました(笑)。
弁護士としてはじめのころの体験というのは、なかなかどうして、弁護士人生に影響を与えるのだな、と思った案件でした。
今年のGW、暦通りにお休みがあった方がたにとっては、かなりの長期休みだったことと思いますが、長期休みの面会交流が大変うまくいっていたケースについて少しお話したいと思います。 お子さん3人の親権者となった監護親が、長期休みに何泊も非監護親と一緒に宿泊するという面会交流を実施できるようになったという事案です。 とはいえ、監護親は、面会交流を求められた最初の時期には、面会交流なんてさせたくない、宿泊付きなんて以ての外…という状況でした。 しかし、何度も繰り返し、短時間の付き添いのついた面会交流を実施して、監護親の側としても、非監護親が子供を丁寧に扱っている様子を見て安心したのか、1泊付きの面会交流を実施することになったのでした。 しかし、非監護親は子供と過ごす時間が楽し過ぎて、休みの日の約束(夜は10時までに寝る、のような日常的なものです)を一部忘れてしまったのでした。 監護親からしてみれば、せっかく宿泊付きの面会交流を認めたのに、子供のことを本当に考えているのか疑わしい、という気持ちになったことでしょう。 以前のコラムにも書いた「ハレ」と「ケ」の問題になりますが、非監護親と会うのは「ハレ」であってはいけません。約束は約束、それは長期休みや宿泊を伴う面会交流であっても同じです。 その後、短時間の面会交流実施に戻りながらも、弁護士の手を離れるときには、長期休みには何泊も宿泊を伴う面会交流を実施できるようになっていきました。 このケースがうまくいったのは、非監護親がもともと子供に丁寧に接していたということもありますが、一度した失敗を許した監護親と、一度した失敗を繰り返さずに信頼関係を取り戻すことに尽力した非監護親、それぞれの努力にあったと思います。この努力なしに、すでに一度壊れた夫婦関係から、信頼関係を築くことは困難だと思います。 とはいえ、夫婦としての信頼関係がなくなっても、子供の親としての新しい信頼関係は築くことができる、ということの典型例だと思いますし、私が親としての新しい信頼関係を築くことのお手伝いを諦めきれなくなったひとつの経験となりました。 次回は、「美容室」をテーマに一つお話をしようと思います。
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