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2016年11月8日

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兄弟間の扶養請求の審判の結果例~検索ワードで記事を書くシリーズ~

兄弟間の扶養請求の審判の結果例…

 

生々しいワードで検索した方がいたようです…

っていうか,思い当たる人,あなたです。

 

これについて,実は私実際の事件として取り扱ったことがありません。

そのため,一般論と審判例のご紹介ですが,させていただきます。

 

民法877 扶養義務
1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2項 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3項 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

 

この扶養義務は,身分関係から法律上当然に発生する扶養義務です。

とはいえ,1項と2項とでは話が違い,2項は「特別の事情があるとき」に発生します。

 

今回検索のあった「兄弟間」は1項なので,特別の事情がなくても発生します。

 

この場合の「兄弟姉妹」というのは,

① 父母が同じ兄弟姉妹

② 父母の一方が異なる兄弟姉妹

③ 養子と実子の兄弟姉妹

④ 養子同士

という4パターンの兄弟姉妹があります。

 

ちなみに,連れ子同士の場合,どちらかが両親との間で養子縁組をしていれば③か④にあたるので兄弟姉妹ですが,

両親との間で養子縁組をしていなければ,兄弟姉妹にはあたらないことになります。

また,いわゆる「血がつながっている」,②にあたりそうだとしても,認知されていない婚外子と実子の間にも兄弟姉妹関係はありません。

 

そのほか,義兄・義姉・義弟・義妹という言い方もしますが,配偶者と一方配偶者との間の兄弟姉妹との関係は,姻族であって,兄弟姉妹関係にはありません。

 

この「兄弟姉妹」の間の扶養義務は,夫婦間や親の未成熟子に対する扶養義務とは異なり,

「生活扶助義務」と言われています。

すなわち,生活構成単位が異なるものの親族であるがために補完的に他の親族の生活構成単位の面倒を見るといった限度のものです。

「余力があったら」という限度だ,と言うこともできるかもしれません。

 

兄弟間の扶養義務の目的が生活の格差是正にあるのではないことはいうまでもなく、あくまで生活困窮の場合における補完としての援助の性質のものであるから、現段階においては、抗告人としても、なお残された人生をできるかぎり親族扶養に頼ることなく独自の努力で生きることを考えるべきであるし、また相手方が前記のとおりある程度の援助を申し出ているのであるから、話合いによって援助が受けられないことはないはずである(前記調停の援助条項はこれを意味すると解される。)。したがって、現段階において、抗告人が相手方から審判によって扶養を受けなければならない必要に迫られているとはいえない。(昭和51年5月19日/東京高等裁判所/第7民事部/決定/昭和50年(ラ)777号)

 

審判例としては,第一法規等の複数の判例検索システムを使いましたが,このくらいしか上がってきません。

審判とは,争いも争いになった事例だけなので,あまり紛争になっていないのかもしれませんね。

 

lこの審判例をみるに,障害のある弟さん(53歳)が,お兄さん(61歳)に対して,遺産分割の経緯や今の状態からするに扶養してしかるべきだ,という主張をしています。

しかし,裁判所は,この抗告人(弟さん)からの抗告を棄却しています。

細かい事実認定をみると,お兄さんは弟さんに「一部の土地(抗告人住所の隣地)の贈与、一時金の支払、毎月の支払金の贈額、抗告人の引取りなど、種々の提案をこれまで抗告人にしたけれども、抗告人はすべてこれを拒否し、実質上前記調停条項の修正ともいうべき高額の要求を続けていること」という経緯があってのことのようですから,

一切扶養しなくてもいいと裁判所が考えているわけではないでしょうが,少なくとも

あくまで生活困窮の場合の補完としての援助の性質

という規範を立てたということがポイントだろうと思います。

 

と…これで検索への回答になっているかわかりませんが,今日はこんなところで。

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