報告がずいぶんと遅くなってしまいましたが,過労死等防止対策推進シンポジウムのご報告です。
告知の時にもお伝えしましたが,このシンポジウムは,過労死等防止対策推進法の施行に伴い,
過労死等に関する教育啓発が国の責務であって,毎年11月が過労死等防止にかかる啓発月間と定められたことから,
今年から厚生労働省の主催で行われるようになったものです。
私は,過労死等防止対策推進全国センターの幹事として,北海道のシンポジウム開催にあたり,
コンテンツの依頼や,各種のとりまとめ,告知等をしてきました。
その結果,今回のシンポジウムでは146人の参加を得ることができました。
ご協力くださったみなさまに感謝申し上げます。
時折ブラックなユーモアを交えながら,女工さんの過労死問題から解きほぐし,「働きすぎ」の歴史に触れるとともに,
現代日本の雇用問題がまさに「雇用身分社会」を形成しているとの指摘がありました。
遺族の方のお話に時間を割いたため,大綱の報告が若干短くなってしまいましたが,
むしろそれでよかったのかな,とも思っています。
また,大綱についてお話ししきれなかったことについては,また改めて記事にしたいとお持っていますが,ざっくり言えば以下の通りです。
大綱が定められた以上,過労死対策は単なる紳士協定にとどまらず,確実に法制度化されます。
そうなった時,現時点で労務管理の問題点を抱えている事業者は,経済的な意味でも,社会的な意味でも,大きな打撃を負うことになるはずです。
そうなる前に,事業者は労務管理を適正に行う準備をしていかなければなりません。
また,事業者が対応するには,新たな就業規則の策定の他,新規雇用等の時間がかかる問題もありますから,
法制度ができあがってからの準備では足りないことも多いのではないかと推測します。
ですから,今から大綱や労働基準法等の各種労働法制への対応は必須です。
もちろん,労働法制の改正も騒がれていますが,大綱での研究成果が変化することはありませんから,
労働法制が改正されたとしても,おそらくその幅の範囲にとどまることになろうかと思います。
その他にも伝えたいことはたくさんあるのですが,ひとまずこのあたりで。