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2015年10月1日

ブログ

ブラック企業対策プロジェクトのメールマガジン 第25号

9月に入って、朝晩は寒いと感じるほど秋めいてまいりましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。大雨による洪水、阿蘇山の噴火、チリの地震と津波など、大規模な自然災害が続き、ご被害を受けた方々には心よりお見舞いを申し上げます。 

 メールマガジン第25号では、ブラック企業・ブラックバイト・個別指導塾・エステ、それぞれで大企業との団体交渉・法的争いが始まっていることについて、それぞれ詳しくお伝えします。今後もHPやメディア報道にご注目をお願いいたします。 

 今後とも、みなさまのご支援・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。 

目次

【イベント紹介】

・「ブラックバイト・ハンティング!」学生ボランティア募集キャンペーン

【活動報告】

・【ブラックバイトユニオン】:「しゃぶしゃぶ温野菜」の労働問題について団体交渉を申し入れました!

・エステユニオンの活動報告:脱毛サロン最大手「ミュゼプラチナム」を運営するジンコーポレーションへ団体交渉を申し入れました!

・【個別指導塾ユニオン】:「明光義塾」と「湘南ゼミナール(森塾)」との団体交渉を進めています!

・積水ハウスの「事業場外みなし労働時間制度」による残業代不払い問題

【NEWS】

【イベント紹介】 

  • 「ブラックバイト・ハンティング!」学生ボランティア募集キャンペーン 

 この数年ほど、学生の間にブラックバイトがはびこり、授業・テスト・サークル活動等の学生生活に支障をきたすようになっています。テスト期間中であっても休めずにシフトに入ることを強要されて、単位を落としたり、留年したりする人も少なくありません。

 なぜ近年になってブラックバイトが増えてきたのか。一つには、企業側の変化があります。20年ほど前まで、ほとんどの学生アルバイトは正社員の補助にすぎませんでしたが、現在、企業は学生アルバイトを基幹的な労働力として位置づけることが増えています。また、学生側の生活状況の変化もあります。学費が高騰し、仕送りは減少し、奨学金も不十分な今、生活費の一部をバイトに頼らざるを得ないのです。

 私たちブラックバイトユニオンは、その解決に取り組んできて、すでに労働相談が600件を超えています。「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などで有名な大手アパレル・アダストリアにおいて自腹ルールを是正し、個別指導塾最大手の「明光義塾」に対しては、2000を超える教室における労働環境の調査を要請し、調査を実施させました。

 この動きをさらに本格化するため、ブラックバイトユニオンでは「ブラックバイト・ハンティング!」キャンペーンを開始します。

 ブラックバイト・ハンティングキャンペーンでは、ブラックバイトが生じるメカニズムと有効な対策を研究し、ブラックバイトの情報を広くリサーチするとともに、ブラックバイトの摘発サポート・改善に乗り出します。活動内容は、具体的には以下の5項目です。

 ①ブラックバイト発見情報の収集、分析、報告書の作成

 ②ブラックバイトの啓発セミナー・労働法教育の実施

 ③ブラックバイト相談への対応

 ④労働基準監督署への同行支援

 ⑤団体交渉・訴訟のサポート

 ブラックバイトユニオンでは、ブラックバイトを摘発・改善するための学生ボランティア(ブラックバイト・ハンター)を募集します。関心のある方は、まずお気軽にメールまたは電話にて、お問い合わせください。ご希望の方には、説明会や見学の機会も設けています。

 ぜひ私たちと一緒にブラックバイトの撲滅のために活動しましょう!

http://b
lackarbeit-union.com/hunting/index.html

【活動報告】 

  • 【ブラックバイトユニオン】:「しゃぶしゃぶ温野菜」の労働問題について団体交渉を申し入れました!

 ブラックバイトユニオンは、9月10日に「しゃぶしゃぶ温野菜」で働いていた学生アルバイトのAさんの労働問題について、フランチャイズの運営会社とフランチャイズ本部である株式会社レインズインターナショナルの両社に団体交渉を申し入れました。

 Aさんは今年の4月から8月のあいだの4ヶ月間、毎日一日12時間程度の連続長時間勤務を強いられるなどきわめて悪質な労働条件のもとで働かされていました。賃金は最低賃金を下回っており多額の賃金未払いが発生しています。

 職場では勤務態度や些細なミスを理由に法外な金額の損害賠償請求をしたり、累計で十数万円分の自腹購入などを強要されていました。しかも自腹購入の多くは架空購入で、お金を支払ったにもかかわらず商品が提供されていません。

 さらに日常的に店長から暴言を浴びせられるなどのパワハラを受けていました。Aさんが退職を申し出ると、胸倉を掴んだり、懲戒免職にして就職できないようにするとか、数千万円の損害賠償請求を準備しているなどと脅迫して阻止し、さらに、帰宅途中に店長から「今から家に行くからな。殺してやる」という脅迫電話があり、店長が自宅に押しかけることを恐れて、友人宅に避難しています。(証拠音声などの一部を公開しています: 
http://blackbeitunion.blog.fc2.com/blog-entry-33.html )

 このような過酷なアルバイトのため精神的にも肉体的にもおおきな被害を受け、Aさんは「うつ状態」「不安障害」と診断されました。過酷なアルバイトのため大学にも通えず前期の全単位を落としてしまいました。

 8月初旬にAさんから相談を受けたブラックバイトユニオンは、病院同行、他の組合員との交流会などのサポートをしました。そうしたなかでAさんは自分のため、そして同じ会社で働く仲間のために、団体交渉によって職場環境を改善することを決意しました。

 今回は、「温野菜」の運営会社に加えて、運営会社を指導する立場であったにもかかわらずブラックバイト被害を未然に防げなかった責任を追及し職場環境を根本的に改善するために、フランチャイズ本部の株式会社レインズインターナショナルにも交渉に応じるように求めました。

 団体交渉の申し入れに対して運営会社の回答では、上記の事実関係を否定し、さらにはブラックバイトユニオンを労働組合と認めないとして交渉を拒否しています。

 一方、フランチャイズ本部であるレインズインターナショナルは、法的な義務はないとして団体交渉には応じない姿勢を示しています。

 これらの主張はきわめて不誠実なものであり、まったく受け入れられるものではありません。ユニオンでは今後も両者に対して団体交渉に応じるように求めていく方針です。そのために現在、両社に話し合いに応じるよう求めるネット署名( https://www.change.org/p/しゃぶしゃぶ温野菜-ブラックバイト被害についての話し合いに応じてください)を実施するなどの取り組みを進めています。

 ブラックバイトユニオンでは学生アルバイトが直面しているさまざまな問題に取り組んでいます。無料で相談できますので、学生の方はぜひお気軽にご相談ください。

ブラックバイトユニオン 
TEL:03-6804-7245 
MAIL:info@ blackarbeit-union.com

(ブラックバイトユニオン・メンバー)

  • エステユニオンの活動報告:脱毛サロン最大手「ミュゼプラチナム」を運営するジンコーポレーションへ団体交渉を申し入れました!

◆これまでの経緯

 株式会社ジンコーポレーションの本社で働くAさんがエステ・ユニオンに加入し、未払い賃金の支払い等を求め、9月15日、団体交渉を申し入れました。

 Aさんは、本社のシステム業務等により、残業時間が最長で月間88時間に及ぶという過重労働の結果、心身に不調をきたしました。これまでAさんは、ユニオンのサポートを受けながら、長時間労働、賃金未払いなどについて、労基署に通報するなどの努力を重ねてきました。その結果、労基署は2度にわたり、会社へ「是正勧告」を出しました。

 ところが、会社は誠実に対応せず、違法状態を改善しませんでした。そのため、
Aさんはユニオンとともに会社全体の労働環境の改善を求めることを決意しました。「ミュゼプラチナム」という業界トップ企業の趨勢について、是非、多くの方にご注目いただけたら幸いです。 

◆労基署が出した「是正勧告」

・1度目の内容 
第24条(賃金支払い) 
第32条(労働時間) 
第106条(就業規則等の周知) 

・2度目の内容 
第32条(労働時間) 
第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金) 
第89条(就業規則等の届け出) 
第106条(就業規則等の周知)

◆ユニオンが求める要求事項

①労働条件の明示と、就業規則の周知について 
 Aさんは、労働条件の明示を受けていないので、雇用契約書等を提出すること。また、就業規則も周知されていなかったので、就業規則を提出すること。

②長時間労働の改善について 
 残業時間が、月80時間(いわゆる「過労死ライン」)を超えるような過重労働を是正すること。

③休憩時間について 
 Aさんがいたフロアでは、休憩時間が定められておらず、業務量が多いため、法定通りの休憩が取得できなかったので、取得できる環境を整備すること。

④未払い賃金の支払い 
 15分単位の労働時間計算を、法定通り1分単位で計算し、未払い賃金を支払うこと。 
 Aさんは、掃除当番、システム立ち上げ等のために就業時間前に出勤していたので、早出出勤分を計算し、未払い賃金を支払うこと。 
 上記③のとおり、Aさんは法定通り休憩時間を取得できていなかったので、1日1時間の休憩時間も労働時間として計算し、未払い賃金を支払うこと。 
 上記①のとおり、これまで会社はAさんに支給している各種手当(職務手当等)の性質を明示していないので、未払い賃金計算の基礎となる賃金は、基本給に諸手当を合算した金額から算出すること。

⑤旅行積立金の返還 
 会社は、社員旅行積立金として月数千円を賃金から控除していたが、社員旅行は中止となっているため、旅行積立金を返還すること。

 今後も交渉の進展を報告して行きますので、ぜひエステユニオンのブログやニュースにご注目ください。また、自分や友人が同様の問題を抱えている、と言う方は、ぜひお気軽にご相談ください!

http://esthe-union.sblo.jp/article/163656539.html

(エステ・ユニオン スタッフ)

  • 【個別指導塾ユニオン】:「明光義塾」と「湘南ゼミナール(森塾)」との団体交渉を進めています!

 「明光義塾」との団体交渉は、アルバイト講師Bさんが授業時間以外に賃金が支払われていないと相談し、その違法状態を改善したいとしてユニオンに加盟したことをきっかけに、今年6月に始まりました。Bさんは「明光義塾」の本部である「明光ネットワークジャパン」に直接雇用されているのではなく、そことフランチャイズ契約を結んで教室を直接運営しているワールドオーエーに雇用されていました。

 そこでユニオンは、「明光義塾」の全社的な改善を図るために、ワールドオーエーと「明光義塾」の本部の両者に団体交渉に応じるように求めたところ、異例の二社同時団体交渉を実現することができました。さらに団体交渉のなかでは、全国のフランチャイズ運営会社の違法な「コマ給」の実態を調査することを約束させることにも成功しました。

 しかしその後、「明光義塾」側は調査を実施したものの、その結果を明らかにする必要はないと主張して、結果をユニオンに伝えていません。

 またワールドオーエーは、違法行為の是正要求に対して、現場の管理者である教室長などに十分な聞き取り調査すら行なっていないにもかかわらず、違法行為はないとの認識を示してきました。

 このような話し合いの姿勢を見せない対応をするため、Bさんはユニオンのサポートのもと土浦労基署に申告を行いました。それをうけて8月7日に労働基準法違反の是正勧告がBさんの勤めている教室に対しておこなわれました。しかし、その後も会社側は反省した様子を見せていません。

 また先月に団体交渉を開始した森塾でも「コマ給」の問題があります。講師は準備・報告などの事務作業におわれ休憩を取ることもできず働き続けるなどの問題も起きていました。ユニオンに相談したCさんは、辞めるだけでは状況の改善に繋がらないと考え団体交渉に踏み切りました。こちらの団体交渉も現在進行中です。

 2つの団体交渉で会社側の対応は納得できないことが多いですが、ユニオンでは、一人の講師が立ち上がることによって会社側を交渉のテーブルにつかせて、すこしずつ改善に向かわせることができます。

 「これ当てはまるのかな?」「私の塾もブラックなんじゃ?」と思った方は、お気軽に個別指導塾ユニオンまでご相談ください。対処法も含めて、アドバイスさせていただきます。 ぜひ、以下の相談先までにご連絡ください。

個別指導塾ユニオン 
TEL:03-6804-7245 
E-mail:info@kobetsu-union.com 
HP: http://kobetsu-union.com/

(個別指導塾ユニオンスタッフ)

  • 積水ハウスの「事業場外みなし労働時間制度」による残業代不払い問題

 

(1)はじめに 
 7月30日に新卒で積水ハウスに入社した20代の元社員2人とブラック企業被害対策弁護団(戸舘圭之、明石順平、宮里民平)が東京地裁へ労働審判を申し立て、厚生労働省で記者会見を開催しました。

 積水ハウスは、国内最大手の住宅メーカーで、資本金1,915億5,919万円、従業員数15,750名(平成26年4月1日現在)を抱える有名大企業です。また、積水ハウスでは,毎年約700名の新卒社員を採用していますが、3年以内の離職率は約40パーセントに上ると社内で言われています。

 元社員2人は、積水ハウスにおいて、入社当初から残業代が一切支払われないまま、厚労省の定める労災認定基準(通称「過労死ライン」)である月80時間近い長時間過密労働やパワーハラスメントが続き、心身に不調をきたして退職するに至ってしまいました。

 今回の労働審判では,上記のような長時間労働に対する残業代(及び付加金)と,パワーハラスメントにより申立人が被った損害賠償を請求しています。 

(2)2人の働き方について 
 積水ハウスでは、入社後3カ月間は研修期間と定められており、前日の夜まで作業を行わなければならない日も多くありましたが残業代等は一切支給されませんでした。また、研修の最後には、2泊3日の自衛隊訓練研修が行われました。この研修期間中は、風邪をひいても行うよう命ぜられ、申立人も風邪をひいて声が出ない状態であったにもかかわらず、研修に参加させられました。

 支店配属後の働き方はさらに過酷を極めました。朝8時15分に支店へ出社し、営業準備やメールチェックを行い、その後ラジオ体操、朝礼、チームでの会議があり、10時半から支店外で営業活動をスタートします。営業活動中は、飛び込み営業やチラシ投函などを行い、飛び込み営業は1日300~500件行っていました。移動は基本的に自転車です。

 18時頃に支店へ帰社した後も、仕事が続きます。顧客リストに載っているお客さんへの電話折衝、営業で話したお客さんの情報整理や資料作成、物件契約後のローンや打ち合わせの準備、翌日の営業準備、1日の報告としての日報作成などが続き、退社は22時頃になってしまいます。所定労働時間内にはとても収まらないような過酷な労働でした。

 ところが、このような長時間労働に対して、積水ハウスでは基本給約20万円に加えて営業手当約3万が付くだけで、残業代を一切支払っていませんでした。

 さらに、パワーハラスメントも蔓延しており、飲み会に強制的に参加をさせられ、お酒が弱いにもかかわらず、アルコール度数の強いお酒を飲むことを強いられたり、タバコの灰を付けた刺身を食べることを強要されたりすることが日常茶飯事でした。 

(3)「事業場外みなし労働時間制度」の問題について 
 積水ハウスでは、「労働時間を算定し難い」労働者に対して適用できる「事業場外みなし労働時間制度」を、営業職の労働者に適用しているとして、残業代を支払っていません。  

 ところが、実際に当事者2人は、仕事の進捗管理について、「月間スケジュール」を提出し、毎日の朝礼で予定を上司と確認し、支店外での営業活動中は、携帯電話およびiPadにて頻繁に上司と連絡を取り合っていました。そして、帰社後には1日の業務内容の詳細を報告していました。

 以上のように、会社は営業職の労働者の労働時間を把握することができるため、「事業場外みなし労働時間制度」を合法的に適用することは困難といえ、未払い賃金を支払う必要があると考えられます。 

(4)本件申立ての意義 
 以上のように、積水ハウスの労働環境は、まさに「若者を使い捨てにするブラック企業」の典型といえるものです。このような有名大企業の問題を問うことで、ブラック企業対策に向けた取り組みを前進させていきたいと思います。また、違法な「事業場外みなし労働時間制度」の下で過重労働を強いられている「営業職」の労働者の環境改善にも、今回の取り組みを結びつけていきたいと考えています。

(ブラック企業対策プロジェクト事務局)

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