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2015年8月22日

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扶養って何だ?③~養育費について~

お金のことでいくと,お子さんがいる場合には養育費も気になるところですよね。
養育費についても,きちんと民法で決まっているのです。

オーソドックスには,協議離婚時の「子の監護に要する費用」として規定されている条文があります。

●民放766条
1 父母が協議上の離婚をするときは,子の監護をすべき者,父又は母と子との面会及びその他の交流,子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は,その協議で定める。
  この場合においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,家庭裁判所が,同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は,必要があると認めるときは,前二項の規定による定めを変更し,その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては,監護の範囲外では,父母の権利義務に変更を生じない。

これが皆さんがぱっとあたまに思い浮かぶ「養育費」ではないでしょうか。

協議離婚をする時に,当事者間で話し合いができて,当事者間で決めることができるのであれば,
弁護士も裁判所も法律も要らない,というのは,婚姻費用の時と同じです。

これでもめそうだ,あるいはきちんと払って貰えなさそうだ,となった時に,弁護士や裁判所や法律が出てくることになります。

婚姻費用のところで少し触れましたが,婚姻費用には養育費が含まれます。
ですので,婚姻費用の支払請求をする場合に,別個に養育費を請求することはできない(していることになる)ことになります。

結果,具体的に養育費の支払請求をすることになる場面としては,夫婦関係が続いている時ではなく,離婚をする時となります。
もちろん,結婚をしていない夫婦の間の子供についても養育費の支払義務は生じます。
そのため,今回は離婚後の養育費についてのお話をさせていただきますね。

離婚後の養育費を裁判所を介して定めるには,
離婚手続の中で附帯申立
又は
離婚後に養育費支払請求調停
又は
離婚後に扶養料支払請求調停
を行うことになります。

具体的には,
離婚調停の中で養育費の支払についての合意をする
離婚訴訟に附帯する申立として養育費の支払を命じる裁判を求める
離婚後に改めて子の監護処分としてか扶養に関する処分としての調停申立をする
ということになります。

養育費は子供の生活していくための権利ですから,仮に離婚時に支払わないという合意をしたとしても,
やはり生活していけないということになれば,改めて養育費支払の調停を行うことは可能です。

また,養育費の調停は「別表第2の調停」なので(婚姻費用の記事参照),
調停で当事者間に合意が成立してこれを調書に記載したときは調停が成立したものとし,確定した審判と同一の効力を有するとされています。
また,仮に調停が不成立となった場合には,家事調停の申立ての時に当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなすとされており,
自動的に家事調停が家事審判に移行し,家事審判官による審判がなされることになります。

この調停調書や,確定した審判書を使って,差し押さえ等をすることができるというのは,婚姻費用と同じですね。

手続は以上ですが,やはり気になるのは具体的な金額でしょうか。

養育費の金額についても,婚姻費用と同じように,「養育費算定計算機」!みたいな民間のウェブサイトがあります。
あのウェブサイトの基本になっているのも,「簡易迅速な養育費等の算定を目指して」という裁判所からの提案論文です。
一定の幅はありますが,裁判所での調停や,場合によっては審判の際の目安になります。

具体的な考え方としては,

① 義務者・権利者の基礎収入を認定
  (実額ではなく,税法等で理論的に算出された標準的な割合と統計資料に基づいて推計された標準的な割合による)
② 義務者・権利者及び子それぞれの最低生活費を認定
  (親100,0歳から14歳は55,15歳から19歳は90という指数を利用)
③ 子に充てられるべき生活費を認定
  (義務者の基礎収入を義務者・子それぞれの最低生活費の割合で按分計算)
④ 子の生活費を義務者・権利者双方の基礎収入の割合で按分して,義務者が負担するべき養育費を算出

ということになるのですが,数字を具体的に見てみないと何とも分かりづらいですね…。

いずれにしても,このような考え方で養育費の金額は決まっていきます。

法律家ってこんな細かいことをよく言語化するなぁと自分でも思います。
例外的な事例があるかもしれないと思うと,なかなか言葉が細かくなります。

法律相談に来ていただけると,個別の事案に即したお答えをすることが出来ますので,
もっともっと簡単な言葉で,具体的なお話ができますので,この点ご安心を(笑)。

養育費について,今回はこのあたりで。
今後,オーソドックスなケース以外の養育・扶養の請求や,
差し押さえのこと,面会交流とのことなどの記事も書いていきたいと思っています。

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